次世代法・行動計画の概要


「次世代育成支援対策推進法は、21世紀の経営資源」
メルマガバックナンバー003号(H17.04.12)

あの人の言葉発見


女性の働きやすさで高く評価される企業の株式を組み込んだ投資信託が、増える兆しを見せている。

次世代法が全面施行され、企業の社会的責任として「両立支援」がますます重要になってきたからだ。

販売する金融機関側は、投信の運用実績を上げるために優良企業の株式も組み込むなどの方策で、投資家の目を向けさせようとしている。

日興フィナンシャル・インテリジェンスは、この夏にも女性支援に手厚い企業の株式と優良銘柄とを組み合わせた投信を、運用会社と組んで発売する。

発売に向けて上場企業約1400社を採点し始めている。

採点方法は、企業への聞き取りやホームページなどをもとに、男女の勤続年数の差や管理職に占める女性比率、産休・育休の取得率を調べる。

女性の活用や多様性を認める発想が企業理念にあるか、働く女性の健康や暮らしを考えた商品やサービスがあるかなどもチェックし、点数化する。

三菱信託銀行は昨年11月、育児や介護を支援する社内制度が整い、社員の利用が多い自動車メーカーや電力会社の株などを組み込んだ「ファミリー・フレンドリー投信」を発売した。

同12月に投信を設定してからの約4ヵ月間での騰落率(4月6日現在)はプラス8.24%と堅調で、運用総額は現在約15億円という。
「働く女性応援 新投信」
仕事・子育て両立 評価
高得点企業株組む
朝日新聞 17.04.07 総合

制度のしくみ


    〔1〕次世代法関連
     1.次世代育成支援対策推進法
     2.行動計画策定指針
     3.行動計画内容
    〔2〕関係法令
     1.育児・介護休業法
     2.労働基準法
     3.男女雇用機会均等法
    〔3〕労働社会保険
     1.給付
     2.保険料等
    〔4〕助成金、奨励金
    〔5〕法人税
    〔6〕次世代法認定企業


〔1〕次世代法関連 1.次世代育成支援対策推進法

次世代法・行動計画の概要

ぼんさく
今日は、行動計画だね。

ペコポン
計画に定める事項は、
一 計画期間
二 目標
三 内容と実施時期
の3点です。

ぼんさく
なんだ。簡単じゃん。

ペコポン
こう話すとね。
この行動計画について、社員301人以上の会社は、「行動計画指針」に即して、策定し、策定した旨を届け出なければならない、と次世代法に規定されてます。
届け出については、前回話したね。
義務です、と。
『「行動計画指針」に即』すことも義務になっている。

ぼんさく
300人以下は?

ペコポン
届出が「努力義務」だったように『「行動計画指針」に即』すことも「努力義務」。
つまり、「行動計画指針」に即して、行動計画を策定し、策定した旨を届け出るよう努めなければならない、と次世代法に規定されているんだ。
ところで、ぼんさく。この「努め」は、
・「即す」こと
・「策定する」こと
・「届け出る」こと
すべてにかかるのか、届け出だけにかかるのか、どう思う?

ぼんさく
どういうこと?

ペコポン
例えば、こう。
策定して、届け出はした、でも、行動計画指針に即してはいない。
ということが認められるのか。労働局は受け付けるのか。

ぼんさく
へー。
そんなこと考えなかった。

ペコポン
で、これは受け付けるみたい。

ぼんさく
じゃぁ、指針に縛られず、自由に計画作るほうが楽だったら、自由に作るか。

ペコポン
そこで!だ。
会社のメリットを考えてみよう。
次世代法の、経営的メリットの1つに「認定」というものがある。
行動計画をクリアすると、国の「お墨付き」がもらえるんだ。
「この会社は次世代育成に熱心で、実績もある」と。

後で話すけど、この「認定」は、消費者や学生、特に女性に好印象を与えると考えられている。
そうなれば売上や、採用、人材確保に結び付き、経営にメリットとなる。

個人情報保護法下で、巷の中小・ベンチャー企業企業が、対大企業向け取引のために、プライバシーマーク取得に大慌ての現状を見れば、想像がつくよね。
その「認定」を受けるには「認定基準」があり、その基準のなかには「行動計画指針」が関係してくる部分がある。

ぼんさく
つまり、「認定」は「指針」を無視しては受けられない、ってこと?

ペコポン
そういうこと。
300人以下の会社は、義務がないのに、わざわざ計画して届け出るんだから、「認定」を受けることを目指さないとね。
「認定」がなければ、意味がない、とは決して言うつもりはないけれど、経営上の大きなメリットであることは確かだと思う。
だから、どうせ計画を作るんなら、「指針」に即して作りましょう、と。

ぼんさく
その結論言うのに、ずいぶんしゃべったな。
はじめから、ヘンな問題出さなきゃいいのに。

ペコポン
じゃ、もうちょっと「認定」の話をしよう。
「認定」は、「認定基準」に適合する「行動計画」をたてて、それをクリアするとでもらえる厚生労働大臣の「お墨付き」。

ぼんさく
計画をたてただけじゃダメなんだね。

ペコポン
それを届け出ただけでもダメ。
計画をクリアして、クリアしたことが認められた時点で「認定」される。

この「認定」は、マークで示され、商品やサービス、広告や書類・パンフレットに表示していいことになっている。
「この会社は、働きながら出産や子育てがしやすい会社です」と国が言ってくれるんだ。
自分で言うんじゃない。
自分で言うんじゃなく、他人が言ってくれるんだから信憑性があるよね。

ぼんさく
そうなると?

ペコポン
いろいろ挙げてみよう。
女性の採用応募者が増える。
男性も「子ども」意識の高い人は、その会社を選びたくなる。
そうすれば、その中から優秀な人材を採用しやするくなる。
女性社員の、結婚・出産退社が少なくなる。
だから、有能な人材の雇用維持がしやすくなる。
社員の出入りが少なくて済むことになるよね。
そうすると、社員教育に、余計にかかる時間・コストを抑えることができることにもなる。
これ、見えにくいところではあるけど、実は、効果はものすごく大きい。
お客さん、特に女性のお客さんに、
・社会性のある、
・女性を大事にする、
・子どもの成長を助ける、
会社として強くアピールすることができる。

ぼんさく
女性は、そういうことに敏感だからね。
イメージというものも大切にするし。

ペコポン
相手が企業だとしても、これから、どんどん女性の登用が多くなるから、得意先や取引先に対しても、同じくアピールすることになるだろう。

社員の家族も、自分のパートナーが勤める会社は、いい会社だな、って思ってくれるよ。
味方になってくれる。

ぼんさく
よさそうなことばっかり、しゃべってるけど、これ制度だけじゃダメだね。
「認定を受けました」だけじゃね。

ペコポン
ぼんさくもそう思う?
世間一般の人たちが、分かるようにアピールしないとね。
感情に訴える、とかの工夫。
味方になってくれるように演出することが必要だね。
これ、しないとモッタイナイ。

ぼんさく
会社のイメージ、アップ、アップ作戦。
大企業は、お金使って、メディア載っけてPR。
中小・ベンチャー企業は、頭使って、アイデア練ってPR。

ペコポン
それと、こうなるためには、「認定」を受けた会社の雇用環境が、子どもの、生みやすさ、育てやすさ、に本当つながっていること、そして、そのことが、どんなに素晴らしいことか、このことが世間に認知されていなければ、絵に描いた餅。
頑張ってよ。厚生労働省。
頑張ってよ。マスメディア。

ぼんさく
頑張ってよ。このメルマガ発行してる人。

ペコポン
次世代法の、認定の「いいこと」を経営に利用しよう。
ビジネスに活かしちゃおう。

ぼんさく
そういう「下心」満々。
それでいいのか?

ペコポン
悪いかな?
「日本の将来は・・・」とか「子どもの未来は・・・」とかやっちゃうと、みんな「わかっちゃいるけどねぇ」となる。
動かない。
だれかがやるよ、と。
現実味がないから。
大事なことなんだけどね。
それは、お役所やNPOの人たちに任せよう。
どんな発想で出発しても、たどり着く結果は、グッド。
みんな、ハッピー。

ぼんさく
なんかソノ気になってきたな。

ペコポン
それでは次回は、「認定基準」について話しましょう。

ぼんさく
待ってまーす。

誌上しつもん会


Q.現在、社員数は300人以下なのですが、支店設置の計画があり、数年後には確実に300人を超える予定です。
行動計画の届け出は、どのようにすればいいですか?

A.「次世代法」は平成17年4月1日から27年3月31日までの期間に限り、効力がある法律(時限立法)です。

つまり、平成27年3月31日までに、社員数が300人を超えた場合は、その超えた時点で、行動計画の策定と、 策定した旨の届け出義務が発生することになります。

ですから、300人を超えた時以降、すみやかに、行動計画を策定し、策定した旨を労働局へ届け出なければなりません。

わたしの後記


女性の働きやすさ評価を組み込んだ投資信託の新聞記事を紹介しました。

なんか動いてきたな、と感じますね。

この信託商品自体は、少し前からあったようです。
ただ、注目が集まったのが、次世代法施行に絡んで、ということです。

いずれにしても、人はメリットがあるほうが、いや、メリットがなければ動かない。

いろいろなメリットが、出てきました。
「次世代法」の、経営的メリット。
「投資信託」の、経済的メリット。
いいことです。

だけど、ちょっと心配があります。

次世代育成の視点で、働く女性の環境がよくなることはもちろん、良いことです。

では、次世代育成をしない、つまり、産まない・育てない女性の働く場は、どうなるでしょう。
守られるのでしょうか。
物理的に「場」はあっても、冷たい風が吹くことは、ないでしょうか。

まだ、あります。

女性が、企業や社会、国のバックアップによって出産・育児と仕事を両立する環境が、完全に整った、とします。

「仕事を持って、出産・育児」が当たり前に、世間がならないでしょうか。
「仕事だけ、の女は、寂しい」「家庭だけ、の女は、能無し」「家庭と仕事の両方をこなす女性が、カッコイイ」なんて、女性の間でも、ならないか。
世間的な風潮にまで、ならないか。
やっぱり心配します。

女性の社会進出が、世間に認知されて、結構時間が経ったと思います。

言われ始めた頃は、ある空気が漂っていると感じました。
「働く女性は、カッコイイ」という空気。

でもこれ、ウラを返せば、
「働かない女性は、カッコワルイ」です。

働かない女性が、「自分は本当にこれでいいのか」と揺らいだり。
深く考えない若者が、世間の風潮だけで「仕事」のほうを選択したり。
そういう世の中って、どう思いますか?
嫌じゃないですか?
健全でない、と思いませんか?

私は、イヤです。
人がハッキリした意志を持たず、見えないものに動かされ、揺らいだり、翻弄されるのは、キモチ悪い。

あの頃は、「働く」か「働かない」か、の2つでした。
「次世代法」以降のこれからは、「仕事と家庭」か、「仕事だけ」か、「家庭だけ」か、の3つです。
ただそれだけの違い。
構造は同じです。

「次世代法」をテーマにお送りしている、この場でこんなこと言うのもナンですが、決して「仕事と家庭」の選択のみを尊重する世の中にはなってほしくないですねぇ。

みんなが自由に選択し、選択したものに、自信を持って、そして周りは、その選択を尊重する、そういう世の中になってほしいと、サラッと思っています。

女性の方々は、どう思ってるんだろう...?
また次回!



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