残業代の変動を抑えたり、
ムダな残業時間と残業代を減らしたりすることで
経営に役立つ法律上の制度があります。
「残業代」― 経営において、経営者であるあなたを悩ませるもののうちの1つではないでしょうか。
残業代について目を向けているということは、ちゃんと利益を管理している経営者ということです。
経営者としては当たり前のことだと思われるかもしれませんね。
でも、世の中には、売り上ることばかりに必死になる会社というのも結構あるのです。
経営上、売上が重要であることはもちろんのことです。
創業から間もないうちは一番重要なことです。
ですが、売上至上主義、シェア至上主義の経営になってしまっては、日本の偉大なる先人である大企業の二の舞になってしまいます。
さて、利益をキチンと管理していれば、費用に意識を向けます。
費用に意識を向ければ、真っ先に人件費が目につきます。
人件費に目をつければ、残業代が気になります。
気になる点は、分けるとしたら次の2つでしょうか。
・残業代の月々の変動が、利益の増減に影響する点
・残業代が多い点
残業代の変動は、「金額」そのものの話。
残業代が多いということは、残業「時間」が多い。その結果、残業代が多いという話。
残業代と残業時間については、根本的解決方法はあります。
- 仕事そのもの見直し
- 業務の効率化、IT化
- 仕事配分、適材適所
など。
それらが本道であることは言うまでもありません。
しかし、手をつけるとなると大がかりで大変であることも確かです。
そこで、ここでは比較的簡単なことから始めましょう、という趣旨でテクニック的なことを紹介します。
それは、労働法で認められている「制度による解消方法」です。
残業代は、残業した時間に応じ、法律で決められた割増率以上の金額を支払うことになります。
つまりその月の労働時間・残業時間が確定してはじめて残業代が決まります。
これは原則的な方法です。
これに対し、毎月、あらかじめ金額を固定した残業代を、給与に含めて支給することができます。
残業代を固定しておけば、残業代の変動が少なくなります。
ひいては、残業代の変動が、利益に与える影響を小さくすることになります。
ところで、残業代を固定するということは、残業時間をあらかじめ想定しておく、ということです。
その他、決めておかなければならないこと、会社がやらなくてはならないことがいくつかあります。
それらをしておかないと、会社は大きなリスクを負うことになります。
かえって莫大なお金がかかってしまうことにもなるのです。
そうならないために、次のページを参考にしてください。
- 「固定残業代を適法に導入する」ページへ
労働時間は、労働基準法によって規制されています。
例えば、労働時間の上限として、1日8時間、1週40時間とする、など。
これは原則的な労働時間制です。
これに対し、例外も認めています。
「変形労働時間制」と呼ばれるものです。
例えば、1ヵ月の間に、繁忙期と、比較的余裕のある期間がある場合、その1ヵ月の平均した週の労働時間が週40時間を超えなければ、特定の週に40時間を超えたり、1日8時間を超えて労働しても、残業時間にはならない、というものです。
つまり、残業代を支払う必要は、法律上はなくなるのです。
繁閑の労働時間のデコボコをならした平均が基準を超えないようにするわけですから、例えば、1日10時間労働の日があるかわりに、1日6時間労働の日もあることになります。
社員にとってみれば、拘束時間が減るメリットもあるものです。
今の例は、変形労働時間制のうち、
「1ヵ月単位の変形労働時間制」です。
このほかに、
「1年単位の変形労働時間制」や
「1週間単位の変形労働時間制」があります。
また、世間一般によく知られている
「フレックスタイム制」も変形労働時間制の1つです。
これらの制度がうまくあてはまる会社であれば、導入をおすすめします。
なお、これらの制度は、会社全体に適用しなければならないものではありません。
個人単位、部署・部門単位、職種単位、職場単位など適用単位を任意に設定できます。
柔軟に考えてみてください。
それでは次のページを参考にどうぞ。
- 「変形労働時間制で残業時間を削減する」ページへ
- 「フレックスタイム制で残業時間を削減する」ページへ
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