固定残業代を適法に導入して、
残業代が未払いになるリスクを回避しましょう
残業代を毎月定額に固定して支給している会社は、よくあります。
しかし、定額の固定残業代制度を適法に導入・運用している会社はあまり多くはありません。
適法でない定額の固定残業代は、会社経営に金銭的大打撃を与えるリスクがあるのです。
外回りする営業マンや外勤の者に対して支払う「営業手当」や「外勤手当」に残業代を含んでいる。
または「営業手当」や「外勤手当」が残業代そのものである。
このようにしている会社は、わりと多いと思います。
「営業手当」や「外勤手当」に残業代を含むこと自体は、認められないことではありません。
ただし、それが残業代として認められるには、法律に決められたとおりのことをしていなければなりません。そうしないと、それは残業代と認められないのです。
「残業代として認められない」ということは、「残業代を払っていない」ということと同じことです。
残業代を払っていないとなると、改めて「別に」残業代を支払わなければならないことになります。
残業代を払っていなかったり、残業代が足りなかったりした場合、会社にどんなリスクがあるでしょうか。
そのリスクの1つは「残業代を支払いなさい」と正されることです。
その正されるパターンは大きく2つあります。
- 労働基準監督署の調査により指摘される場合
- 主に退職した元社員が訴訟を起こし、会社が負けることによって裁判所から命令される場合
労働基準監督署の調査により指摘される場合
労働基準監督署の調査には4種類あります。
- 定期監督
- 申告監督
- 災害時監督
- 再監督
このうち定期監督は、年ごとに業種などを絞って行われるもの。
しかし、定期的とは言っても、監督署員の人数と会社数の関係から、同じ会社にそう頻繁に行われることはありません。
「ウチの会社には、まだ1回も来てない」という経営者も多いことでしょう。
監査として多いケースは、申告監査です。
その会社の退職社員や、会社に不満を持つ在職社員が、労働基準監督署にかけ込んで「会社が残業代を払ってくれない」など事情を説明し、監督署が調査に乗り出すというものです。
労働基準監督署は、違法状態があるようであれば、それを正すのがその役割の1つです。
残業代が適正に支払われているかどうかは、調査すればすぐ分かります。
もし、残業代が支払われていない場合には、会社は是正勧告を受け、未払いになっている残業代を支払うことになります。
(元)社員が起こす、残業代請求訴訟
「一個人が裁判を起こすなんて、そうそうあることじゃないよ。お金もかかるし」
社長がもし、そう思っているのなら、この残業代請求に限ってはちょっと考えを改めたほうがいいと思います。
- 裁判を起こす社員
- 訴訟の代理をする弁護士
- 残業代を払っていない会社
この三者のそれぞれの事情がマッチして、残業代請求訴訟を実現しやすくさせているのです。
裁判を起こす社員の事情
以前は、日本のサラリーマンは会社への帰属意識が高く、忠誠心も高いと評されていました。
しかし、終身雇用の崩壊がささやかれ始めたころから、この帰属意識も忠誠心も低くなったと言われています。
そして昨今の経済情勢から、退職後の就職などもスムーズにいかず、経済的に生活困難な状況に陥りやすくなっています。
そしてインターネットの普及により、情報は簡単に手に入ります。
未払いの残業代がある
↓
経済的に余裕がない生活である
↓
会社に恩も義理も感じていない
↓
調べてみると残業代訴訟は比較的簡単そう
↓
(弁護士などの宣伝効果もあり:後述)
↓
よし裁判を起こそう!
↓
経済的に余裕がない生活である
↓
会社に恩も義理も感じていない
↓
調べてみると残業代訴訟は比較的簡単そう
↓
(弁護士などの宣伝効果もあり:後述)
↓
よし裁判を起こそう!
こんな流れができやすいのが、(元)社員の事情です。
訴訟の代理をする弁護士(業界)の事情
以前よくこんな広告や宣伝を見かけたことはないでしょうか。
「借金返済について、払い過ぎた部分は取り戻せます」
消費者金融会社に支払った、高すぎる金利部分を返還してもらうための裁判が多く起こされました。
いわゆるグレーゾーン金利部分の過払い請求訴訟です。
弁護士にとっては、とてもよい市場だったようです。
商売になる。カネになる。ということです。
ところが状況が変わり、グレーゾーン金利は、今や「違法」
そうなるとトラブルの種はなくなり、裁判も減少。
結果、弁護士(業界)にとってのマーケットも減少。
そして近年、弁護士の数は増加傾向にあります。
また、隣接法律業の司法書士や税理士なども分野などを限って裁判に参加できるようになりました。
そこで弁護士にとっての新たな市場の必要性が高まっています。
残業代請求訴訟は、比較的勝訴の可能性が高い
↓
成功報酬が見込める
↓
成功報酬が見込める
業務としてルーティン化が比較的容易
↓
件数をこなせる
↓
広告などでの多量集客がマッチする
↓
件数をこなせる
↓
広告などでの多量集客がマッチする
↓
↓
よし、裁判を起こすことを世間に訴えよう
このように、マーケットとしての「残業代」が注目をあびている弁護士(業界)の事情があります。
残業代を払っていない会社の事情
“事情”と表現するのもおかしいですが、残業代については、
- 残業代の計算について、
- 労働時間管理について、
- 労務管理について、
やるべきことをやっているか・やっていないかだけなので、ケンカになりにくいです。
簡単にいえば、負けやすいのです。
言い争う余地がないからです。
のような三者それぞれの事情から、未払い残業代請求訴訟が、今後増えるといわれています。
リスクのうちのもう1つは、払うべき残業代を払っていないことが確定した場合、金銭的な負担が大きいということです。
まず、払っていない分の残業代そのものの支払いがあります。
これは最大さかのぼって2年分支払わなければなりません。
法律チックに言えば、給料は、社員が働いたことによって獲得した「賃金請求権」「労働債権」です。
労働の対価である給料をもらう権利のことです。
この労働債権は、消滅時効が2年です。
よって、残業はしたのに残業代が未払いである事実があれば、2年分をさかのぼって支払わなければならないことになります。
そして付加金の支払いがあります。
残業代など給与が支払われていない場合で、裁判になったとき、裁判所は付加金の支払いを命じることができます。
その額は100%、つまり、支払われなかった残業代の金額と同額を、追加で支払わなければなりません。
倍返しです。
さらに遅延損害金・遅延利息の支払い
残業代など給与が支払われていない場合、
- 在職社員に対しては、遅延している期間の利息に相当する遅延損害金・・・年利6%、
- 退職社員に対しては、退職日までの期間について遅延利息・・・年14.6%
がつくことになります。
厚生労働省が公表したところによると、残業代の未払いについて、労働基準監督署の是正指導により一企業が支払うことになった平均額は900万円だそうです。
これらのリスクを内在して、経営することがいいはずがありません。
次のことを行えば、リスクは回避できます。
まず、残業と残業代そのものについて
- 36協定(サブロク協定)の締結と提出
- 社員代表の選任
- 毎日の労働時間の管理
- 残業時間の適正なカウント
- 残業代など適正な給与計算
をきちんと適法に行う。
そして、固定残業代の給与制度を適法に導入し、運用する。
そうすれば、毎月払っている給与の中に、残業代が含まれていることが認められ、残業代の未払いはなくなります。
固定残業代の導入には、次の点を注意しなければなりません。
- 社員との個別同意
- 36協定との整合性
- 就業規則や給与規程の規定
- 給与明細の作成
- 日々時間管理(通常の場合と同じ)
- 固定設定した残業代が足りないときの不足分の支払い
そして、自社の状況により
- 固定する残業代の金額設定と、それに対する残業時間設定
または
- 固定する残業時間の設定と、それに対する残業代の設定
を具体的数字で行います。
各設定には、過去の残業時間実績や、給与の支払い実績を見る必要があります。
導入手順が分からず、手探りでの導入は難しいという中小企業・ベンチャー企業に対して、当社は導入コンサルティングを承っております。
また、地域的な理由でコンサルティングを依頼できない中小企業・ベンチャー企業や、コストを極力抑えるためにできるだけ自社で導入を進めたいという中小企業・ベンチャー企業のため、「固定残業代導入キッド」を販売しております。
「固定残業代導入キッド」の内容は、導入手順などを分かりやすく記載した資料と、残業時間設定・残業代設定など給与設計ができるエクセルファイルです。
この通りに進めていけば、固定残業代の制度が導入できます。
<料金表>
コンサルティング/自社導入 | 金額 |
---|---|
・固定残業代導入コンサルティング
(過去の労働時間、残業代調査は別途) |
100,000円+消費税 (遠方地域の場合、別途日当がかかります) |
・「固定残業代導入キッド」販売
(自社導入) |
50,000円+消費税 |
⇒「固定残業代導入キッド」購入から1ヵ月以内に、キッドに対する感想、意見などレビューを書いて送っていただく場合 |
1万円お得 40,000円+消費税 |
なお、「固定残業代導入キッド」を購入したものの、その後、やはりコンサルティングを受けたいという中小企業・ベンチャー企業につきましては、キッド購入から1ヵ月以内のお申込みがあれば、差額の50,000円+消費税でコンサルティングを承ります。
ご依頼、ご注文は下記メールフォームに必要事項を入力のうえ、送信してください。
送信いただいた会社情報は、ご連絡・資料の送付目的にのみ使用します。
資料を請求された旨を含め、一切の情報を外部に公表することはいたしません。
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