次世代法・認定基準(その4)


「次世代育成支援対策推進法は、21世紀の経営資源」
メルマガバックナンバー008号(H17.05.24)

あの人の言葉発見


ソニーは、育児をする社員に完全な在宅勤務を認める制度を4月から始める。
女性社員のほか男性社員も制度を使え、社内全職種を対象とする。
子どもが満1歳を迎えた後の4月中旬まで適用される。

同様な形の在宅勤務は、外資系の日本IBMが00年にいち早く導入したが、国内の大企業では動きが鈍い。
大手のソニーが完全な形で制度導入を決めたことで、ほかの国内企業にも影響を与えそうだ。

適用を申請した社員が在宅で仕事をこなし、適正な業務ができると判断されれば、認められる。
期間や1日当たりの勤務時間、仕事の内容は、社員と所属長などが個別相談したうえで、柔軟に対応できるようにする。

同社には「育児休職制度」があるが、完全に休めば「休職中の職場の様子が分からない」などの不安が社員に出る。
在宅勤務であれば業務の進行状況も把握でき、職場復帰も抵抗感なくできる、と考えた。
「子育て在宅勤務、全社でOK」
朝日新聞 17.3.5 経済

制度のしくみ


    〔1〕次世代法関連
     1.次世代育成支援対策推進法
     2.行動計画策定指針
     3.行動計画内容
    〔2〕関係法令
     1.育児・介護休業法
     2.労働基準法
     3.男女雇用機会均等法
    〔3〕労働社会保険
     1.給付
     2.保険料等
    〔4〕助成金、奨励金
    〔5〕法人税
    〔6〕次世代法認定企業


〔1〕次世代法関連 1.次世代育成支援対策推進法

次世代法・認定基準(その4)

ぼんさく
「認定」の話し。
今日は最後だね。
残りの、一、と六。

ペコポン
では、さっそく始めよう。

一、雇用環境の整備

行動計画の策定には、お役所の「指針」がある、という話しはしたね。
その「行動計画指針」には、行動計画の内容の“見本”があげられているんだ。

それらは
・雇用環境の整備

・その他
に分けて、項目が示されている。

このうち「雇用環境の整備」にあげられているようなことを行動計画に取り入れること、これが、一、で要求されている。

ぼんさく
具体的には?

ペコポン
ごく一例をあげると
  • 子ども出生時の、父親の休暇取得を促進
  • フレックスタイム制を導入
  • 事業所内託児施設を設置または運営委託
  • 子どもの予防接種や学校行事の際の休暇取得
などがある。
詳しくは「行動計画指針」の回で採り上げるね。

この、一、の社内制度は、育児をしている社員を、対象にしたもの。
これに対し、六、の社内制度は、育児をしていない社員も、対象にしているものでなければならない。

ぼんさく
「子育て支援」と
「多様な働き方への見直し」
の違いだな。

ペコポン
おぉぉー。ぼんさく、スゴイ。その通り。
では、その「多様な働き方」の項目。

六、 次のどれかを実施していること
(1) 所定外労働の削減のための措置
(2) 年次有給休暇の取得促進のための措置
(3) その他、働き方の見直しにつながるような労働条件整備のための措置

ぼんさく
(1)の「所定外労働」って?

ペコポン
「残業」のこと。

だから、
「ノー残業デー」や
「ノー残業ウィーク」
の設定なんかが該当する。

ぼんさく
「ノー残業デー」って簡単に言うけど、その日に残業しなくったって、仕事が片付くわけじゃないん。だから、別の日の仕事が増えるだけだよな。

ペコポン
まぁね。
次世代育成に関係なく、企業はどうにかして残業を減らしたいと考えているもんね。

ぼんさく
居眠りしている間に、小人さんが、靴の修理してくれるとでも思ってるのかね?

ペコポン
なつかしい童話だなぁ。
まぁ、(1)「残業削減」は、形式的な制度導入はともかく実質的には簡単にいかないカモね、と。

そこで、(2)「年休取得」。
コレ、いい手、あるよ〜。

ぼんさく
なんだよ。もったいぶって。

ペコポン
「年次有給休暇の計画的付与」っていうモノがある。
「労働基準法」で定められている制度なんだけど、この制度が、認定基準でも認められるんだ。

ぼんさく
「計画的付与」?

ペコポン
コレ、知っている人は知ってるけど、意外と知らない経営者は多い。
使い勝手もいいので、教えてあげると喜ばれること多いんだ。

内容を話し始めちゃうと「認定」とハズレていっちゃうから別の回にゆずるね。

ぼんさく
ペコポン、話し長いもんな。

ペコポン
(2)「年休取得」については、ほかに、
「取りづらい雰囲気を、意識改革して改善すること」

「希望時期を聞いて、年間の取得計画を作成すること」
などもある。

ぼんさく
有給休暇をとったり、定時に帰ったりするのが後ろめたい雰囲気の職場って、社員からすると働きづらいもんだよね。
改善されるんなら、そりゃいいや。

でも、年間の取得計画は、どうかな。
あんまり先のことは、わかんないからな。

ペコポン
計画に縛られそうだって思う人もいるしね。

ぼんさく
「計画的付与」・・経営者のウケ―――→○
「意識改革」・・・社員のウケ――――→○
「取得計画」・・・経営者・社員のウケ→?
ってトコかな。

あれ?
「計画的付与」と「取得計画の作成」って違うの?

ペコポン
もちろん。
  
ぼんさく
(3)その他、は何をすれば?

ペコポン
例えば
・短時間勤務や隔日勤務
・IT利用のテレワークや在宅勤務
・「子育ては女性」という意識を変えるための研修
などがある。

これら(1)〜(3)を簡単に紹介してけど、この六はネ、行動計画に盛り込むために、新たに制度を導入しなければならないものじゃないんだ。
もう既に社内制度として導入済みのものでもOK。認められるよ。

ぼんさく
へ〜。 そうなんだ。 そりゃ意外。
「年休の計画的付与」の導入済み、実施済み企業はこの部分、ラクにクリアできるワケだね。

ペコポン
そういうコト。

さて、4回にわたってお話しました、
「認定基準」は、今回で終了です。
どう? できそう?

ぼんさく
うーん。難しいところもあるけれど、“絶対に無理”では、ないと思ったよ。

ペコポン
そうでしょ。
・社員ニーズ、と
・社内実現性、と
・適法性、
をかみ合わせて、体制をつくることがポイント。

あとは、出産・育児がいつなのかというタイミング。
それで「行動計画」の「期間」と「提出の時期」が決まってくる。

社員の出産・育児は、当然ながら、会社がコントロールしようがないわけだから、うまく“その時”に合わせるしかない。

ぼんさく
ということは、いつでも、すぐ合わせられるように体制を整えておくことが、「認定」につながるか、つながらないかの分かれ目だ。

「認定」を受けようとするなら、「行動計画」も作ったその場で出せばいい、ってもんじゃないんだね。

作っておいて、ベストタイミングで出す。

ペコポン
それが、中小・ベンチャー企業の次世代法戦略の大前提だ。

ぼんさく
考えてみれば、301人以上の会社は、そんな、タイミングを見はからって提出する、なんてできないから難しそう。

でも300人以下の会社なら、それができる。

ペコポン
「認定」を視野にいれた次世代育成支援体制づくりは、中小・ベンチャー企業のほうが、その意味では有利とも言えるね。

ぼんさく
よし! 取れるぞ!
中小・ベンチャー企業の「認定」

誌上しつもん会


Q.次世代法の認定を受けると、会社にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

A.認定を受けた会社は、認定を受けたことを示す表示(マーク)を広告、商品などに付けることができるようになり、認定を受けた会社であることを対外的に示すことができます。

これにより会社のイメージが向上し、社員のモラールの上昇や、それに伴う生産性の向上、優秀な社員の定着などが期待されます。

また、求人広告やハローワークの求人票に記載することにより、優秀な人材を確保できることなどが期待されます。
厚生労働省ホームページ
Q&Aから抜粋

わたしの後記


見ましたか?
先週の「ガイアの夜明け」

主人公は、半年間の育児休業を取得した男性社員。
そして、その育休の前に7ヵ月の育児休業を取得し、その後、職場復帰を果たした、その男性社員の妻。
夫婦は別々の会社の会社員。
半年間ずつ交替で育休をとることによって、育児の主役をバトンタッチして交替するという、「夫婦2人での育児」を行っていました。

番組は、やはり「社員視点」と「日本の少子化」という組み立て。
「経営」視点の当メルマガとは、すこーしスタンスが違うので、今回は、前のような細かいレポートはしません。

そこで今回は「経営」視点で見た場合の、ある場面から思ったことを、ちょっとだけ、しゃべらせてもらいます。



「クローズアップ現代」のレポートでも言ったこと。

「職場の理解って、ないもんなんだなぁ」

同僚社員が育児休暇をとることによって、“自分の仕事”が増え、“他人の仕事を押し付けられる”ことが、ものすごく不満である様子が映ってました。

導き出される次世代育成支援の成功のポイントの1つ。
「社員の意識改革」「代替要員の確保」ですね。

話しはそれます。

会社として、組織として、仕事がある。
それがあって、割り振りがある、担当がある。
それなのに。

“コレはアノ人の仕事でしょ”
“何でワタシが、やらなきゃなんないの”

なんかオカシイ。違和感を覚えます。

「仕事」しに来てるんでしょ。会社に。
“アナタの仕事”をするために来てもらっては、困るんです。
会社は組織でいる意味がないですもん。それでは。

特に中小・ベンチャー企業は、日々仕事の更新。
そのための担当換え、組織替えは当たり前。
そうじゃなきゃ、変化に対応していけない。

だから、「そんなの当たり前」の風潮に、社長であるあなたはしていかないといけない。
じゃないと危険です。

社員の意識が固まったままになっちゃいます。
コレ大企業病の第一歩。
大企業でもナイのに...

“そんなの当たり前じゃない社員”は採用しちゃいけない。
採用段階でフルイにかけなきゃ。
確認して→念押しして→採用、ですよ。
   


資生堂、またしても。

またしても取材されていました。
TVに流れました。「クローズアップ現代」のときに続いて。

そして今回は、社内に保育所があることも紹介されました。
社員が出勤中に、子どもを預けておけるんです。
会社内の保育所に。
この保育所は、次世代育成支援では「事業所内託児施設」って呼ばれてます。

資生堂の事業所内託児施設は、紙メディアのマスコミでも紹介されています。
これで資生堂に対し、ものすごく強い印象を持ちます。

少なくとも私は。
「次世代育成支援に熱心な会社なんだな」と。

資生堂は、間違いなく、21世紀企業として残る有力候補の1つでしょう。

でも大企業ばかりに持っていかれるのは、旧世紀まで。
中小・ベンチャー企業代表として、「次世代育成支援をする会社」「21世紀企業」にあなたの会社は、きっとなれるハズ。

お手伝い、しますよ。



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