妊娠中と出産後の配慮


「次世代育成支援対策推進法は、21世紀の経営資源」
メルマガバックナンバー013号(H17.06.28)

あの人の言葉発見


「まだ中間地点なのでなんとも言えないが、今後さらに提出促進を図っていく」と語るのは、厚生労働省・職業家庭両立課長。

次世代法の「行動計画」提出期限の4月1日時点で、届出率は 36.2%の 5088社にとどまったことへの感想だ。

当初は経済界からの反発も強かった「次世代法」。
2月に東京労働局が行った事前のアンケート調査では、同法に基づく「認定マーク」の取得を希望しないと答えた企業が希望する企業を上回り、43.6%に上るなど、企業側の抵抗感は根強かった。

「行動計画」義務づけの対象となっている企業の大半は、すでに育児・介護休業法などを上回る制度を整備している。
特に2003〜2004年にかけて、制度の新設や拡充に取り組んだ企業が多い。

ところが、過去の実績は評価されず、この4月から2年間でどう取り組んだかが「認定」基準になることに不満がある。
企業によっては、かさ上げが難しいのだ。

しかし、蓋を開けてみれば、「次世代法」の施行は、別の意味で“効用”をも生んでいる。
一つは、制度があっても実際には利用しづらかったムードが変わりつつあることだ。

「現場では育児支援へのニーズは高かったが、コストに直結するものだけに、トップへの進言が難しかった。

法の縛りができたことでトップの意識が変わり、経営陣を動かしやすくなった」と明かす人事部長もいる。

利用者側と経営側の双方に“大義名分”ができた。
行政の狙いは、ひとまず当たったのだ。
(つづく)
特別レポート
「子育て支援拡充に加え投資商品をも生み出す『次世代法』の“威力”」
週刊ダイヤモンド 17.6.25号

制度のしくみ


    〔1〕次世代法関連
     1.次世代育成支援対策推進法
     2.行動計画策定指針
     3.行動計画内容
    〔2〕関係法令
     1.育児・介護休業法
     2.労働基準法
     3.男女雇用機会均等法
    〔3〕労働社会保険
     1.給付
     2.保険料等
    〔4〕助成金、奨励金
    〔5〕法人税
    〔6〕次世代法認定企業


〔1〕次世代法関連 3.行動計画内容


ペコポン
前回、「行動計画指針」にある行動計画の内容について

一、 雇用環境の整備
(1)  子育て社員の仕事と家庭の両立を助ける雇用環境の整備
(2)  働き方の見直しにつながるような多様な労働条件の整備
二、 その他
の列挙をしたけれど、今回からそれらの項目について個々に見ていきましょう。

ぼんさく
今回は、寝ないで聞こうっと。

ペコポン
じゃ、
一、雇用環境の整備
(1) 仕事と家庭の両立を助ける雇用環境の整備の項目を順番に。

〔妊娠中と出産後の配慮〕

女性の働き方には、「母性を保護する」という観点で、いくつかの制限があるんだ。

母胎となる本人と、生まれてくる赤ちゃんの健康が保たれるようにね。

労働基準法や、男女雇用機会均等法といった法律でちゃんと規定されている。

労働基準法では、
・妊娠中の女性
・産後1年を経過しない女性
を「妊産婦」として、特別な保護を図っている。

男女雇用機会均等法は、働く女性の妊娠・出産という母性を保護することで、男女が平等に働ける環境をつくろう、という考え方がある。

ぼんさく
なるほど。
具体的に、会社はどんなことをしなければならないの?

ペコポン
そのことについては、労働基準法や男女雇用機会均等法のそれぞれのテーマのときに話しましょう。
ここでは行動計画の項目ということに絞らせてもらいます。

これらの法律に決められている最低限のことは、会社が、実施・実行することは当たり前。

そうするばかりでなく、それらの内容を社員にしっかり教えてあげよう、というのが、この項目。

ぼんさく
そうか。
サラリーマンやOLは、普通そんな法律のことまで知らないもんね。
知らなければ、行動も主張もできない。

ペコポン
その結果、妊娠中や出産後の社員が健康を害することになったり、会社を辞めてしまっては、仕事と子育ての両立にはつながらない。

ぼんさく
会社も分かってないとね。
情報提供できないね。

ペコポン
情報提供のほかに、相談体制の整備などもこの項目に該当する。

・医学的な相談
・子どものことの相談
・精神的な相談
・法律的な相談
・社内的な相談
などがあるかな。

ぼんさく
そのすべてを社内で対応するのは、中小・ベンチャー規模には難しいよ。

ペコポン
産業医を会社に常駐させる、なんてのはちょっと難しいね。
電話相談できるような提携をする方法もある。
それでもコストはかかっちゃうけど・・・

ぼんさく
法律相談ならまかせてほしいね。

ペコポン
えっ!?  ぼんさくに??

誌上しつもん会


Q.行動計画策定指針に定められていない内容を行動計画に定めてはいけないのですか?

A.行動計画策定指針には、重要と思われる次世代育成支援対策が盛り込まれていますが、これらはあくまで例示です。

したがって、行動計画策定指針に記載されている取組以外のものを、企業の実情に応じて、自主的、積極的に行動計画に盛り込むことも差支えありません。

ただし、認定を受ける場合には、「雇用環境の整備に関し、指針に照らし適切な行動計画を策定したこと」が必要であるため、行動計画策定指針に「雇用環境の整備」として例示されている事項を踏まえて行動計画を策定し、取組を進めることが必要です。
厚生労働省ホームページ
Q&Aから抜粋

わたしの後記


「失恋休暇」って聞いたことあります?
恋愛に失敗したら、その立ち直りのために、会社から休暇がもらえるんです。

そんな会社が本当にあるのです。
ヒメアンドカンパニー(東京・港)

F1層(20〜34歳)の女性をターゲットとしたファッションやグルメ情報を扱うサイトを運営するマーケティングリサーチ会社だそうです。
http://www.himeclub.com/
(現在はサイト閉鎖しているようです)

休暇日数は、その社員の年齢によって違います。
20代前半は1日、「復活も早いから」
20代後半は2日、「結婚を真剣に考えていたかもしれないから」
30代は3日、「人生を立て直さないといけないかもしれないから」
とは同社社長。

この方、女性です。
そしてこの休暇制度を作った最近までは、社員もすべて女性。

社員7人ほどのベンチャー企業でした。
(その後、男性社員が1人入社したらしい)

求人広告を作成する際に「なにか自社らしい魅力でアピールできないか?」と考えたとき、フト思い出したそうです。

社員の女性たちが話していたのを。
失恋すると心はぼろぼろ。泣いて目は真っ赤。会社に行くのもつらい。」と。



「そんな休暇を認めていたら、仕事になんないよ」
「その業種だから、できるんだよ」

そういう話しではないのです。
この制度の実効性について、コメントするつもりはありません。
ましてや、あなたの会社にもどうですか?などとも。

話題づくりが、ものずごくうまいな、と思うんです。この社長。

私が「失恋休暇」を知ったのは、たまたま目にしたテレビからです。
それはビジネス番組ではありません。

「こんな会社がある」という視聴者からの投稿があったのです。
そして、「失恋休暇」でインターネットを調べたところ、いろいろ出てきました。

(会社の概要、エピソード、取材の部分は
 http://news.livedoor.com/webapp/journal/cid__1112603/detail
 を参考にさせていただきました)

やはり、いくつかの取材も受けているようです。
個人の方のブログにも登場しています。

そして私も、まさに今、話題にしています。
もしかしたら、あなたもどこかで話しに出すかも。

そして、この社長。
素晴らしいのは話題づくりのセンスだけではありません。

曰く、「ベンチャーだからこそお給料ではなく、働きがいを提供したいんです。今回のような福利厚生システムを『面白い!』と感じてくれる方をターゲットにする意味も込めて、この制度を作りました」

話題づくりの“テクニック”もさることながら、「働きがい」を社員に与えようという、そういうところにも感服します。

それは、経営の“王道”ですよね。



  • 採用テーマ
  • 人事評価テーマ
  • 残業代テーマ
  • 仕事と家庭の両立

数事と事株式会社
Copyright:(C) 2012 Kazuo Omata All Rights Reserved.