より利用しやすい育児休業制度の実施


「次世代育成支援対策推進法は、21世紀の経営資源」
メルマガバックナンバー016号(H17.07.19)

あの人の言葉発見


当社には多くの女性社員がいるが、各部門に配置されている女性リーダーは三名しかおらず、部長以上はゼロ。
外部者から見ると日本の多くの大企業同様に、男の会社というイメージが強いようだ。

経営理念の第二十一条に「人種、国籍、年齢、男女等あらゆる差別をなくす経営」とうたったとおり、給与体系にはまったく男女差がないのに、残念だ。

基本的には女性社員がもっと活躍して欲しいと思うし、女性が活躍できるような環境をつくりたいと考えている。

一番の課題は、やはり結婚と出産。
それぞれの個人的な環境のために仕事を断念しないでも済むような仕組みを、会社として作るべきだろう。

そして、女性の役員や管理職など、すべての女性社員の目標になる人たちがでてきてほしい。
男性中心で仕事がやりにくいのであれば、気を遣わないでもいい女性だけのチームを作ってみる必要もあるかもしれない。

取引先企業の多くが男性中心で、女性の管理職がいないわけではないものの、何となく例外扱い。
やはり、社会の仕組み自体が今なお、そのようになっているからだろう。

会社における男女の役割りについての考え方は、10年前も15年前も基本的にほとんど変わっていない。
いまだにそのまま続いているのではなかろうか。

社会や会社組織も、結婚や出産をある意味でのハンディキャップと認めて、環境作りや制度の整備を積極的に実践していかなければ、この習慣はいつまでも解消されない。

日本は少子化現象で、このさき労働人口はどんどん減っていく傾向にある。
そんな状況で女性を活用できないままでいると、たいへんなことになるだろう。

当社の現状は、やはり結婚や出産での女性社員・店長の退職率は高い。
なかには店長をも指導できるようなパートの女性が、退職してしまう。

とくに優秀な女性店長が優秀でない男性店長と結婚し、男性が辞めずに女性が辞めるケースもある。
残念でならない。
笑いごとではなく、本当に困ったことだ。

不思議なことに、優秀な女性でも専業主婦願望が強い人もいる。
仕事を続けたい人には、退職しなくても仕事が続けられるような仕組みを作らなくてはいけない。

女性が5割を超える上場企業、社内に託児所を備えた大企業など、最近は新聞などに取り上げられる会社が増えてきた。

しかし、詳しく実情を聞くと「女性を保護」し、「優先」しているために、女性がかえって甘えるという事態も出始めているらしい。

プロ意識を植えつけるというよりも、甘やかしすぎて、社内にプロ意識が薄れ、慣れ合いの無責任な空気が漂っている、という声もある。

やはり形式的な制度で事足れりとするよりも、働く女性の模範となるような幹部を増やしたり、女性が過半数を占めるようなチームを作ることが有能な女性社員を増やす早道だと考えている。
「一勝九敗」
柳井正 著
新潮社

柳井氏は、ユニクロを展開する株式会社ファーストリテイリングの実質創業者。
8月には会長職と兼務で社長復帰するようですね。

制度のしくみ


    〔1〕次世代法関連
     1.次世代育成支援対策推進法
     2.行動計画策定指針
     3.行動計画内容
    〔2〕関係法令
     1.育児・介護休業法
     2.労働基準法
     3.男女雇用機会均等法
    〔3〕労働社会保険
     1.給付
     2.保険料等
    〔4〕助成金、奨励金
    〔5〕法人税
    〔6〕次世代法認定企業


〔1〕次世代法関連 3.行動計画内容

〔より利用しやすい育児休業制度の実施〕

ペコポン
この項目は、育児介護休業法(育介法)を上回る内容の社内制度を実施しようというもの。

そうすることによって、社員がより利用しやすい育児支援制度にしていこうという意図がある。
利用しやすくするためには、社員のニーズにマッチしていることも、当然必要。

ぼんさく
法律を上回るってどういうこと?

ペコポン
分かりやすいものをあげると「期間」や「回数」。

育児休業でいえば、「期間」は、原則1年間、「回数」は、1回きり。
例えばこのうち、「休暇期間を3年」とすれば法律を上回ることになり、社員は、より利用しやすくなる

ぼんさく
大企業なんかは、休暇期間「3年」を採用しているところも多く見られるね。

ペコポン
前にも話したけど
・法律にどんな決まりがあって
・社員はどこまでを望んでいて、また、現状の何が不満で
・会社は、それらに対し、何ができるのか
の接点を見つけることが大事だよ。

ぼんさく
それはするとして、何かいい例はない?

ペコポン
そうだな〜。
法律については専門だけどね。
ここでは、個々の会社の社員ニーズは知る由もないからな〜。

ぼんさく
中小・ベンチャー企業の実態といえば、
・育児介護休業規程すらない
・規程はあるけど形だけ、実際の制度利用はない
というところが多いよね。

そんな中では、社員自身も「どうしてほしい」と具体的なニーズがわからないもんだよ。

ペコポン
じゃぁ
・大企業でなくてもできる
・社員も喜ぶであろう
実行性と実効性のある方法の1つを紹介しよう。

育児休暇の「期間」についての話し。

原則は、1年間だ。
改正によって、一定の場合には6ヵ月延長が可能となった。

ここでは、原則の「1年間」について。

分かりやすいようシンプルに「1年間」言っているけど、正確には「子どもが1歳になるまで」、つまり「1年間以下」なんだ。

条文を紹介して説明しよう。

ぼんさく
ゲッ! じょうぶん!?

ペコポン
1コだけ。ちょっとガマンして。

育児介護休業法 第5条
「労働者は、その養育する1歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。」

難しくないでしょ。
「1歳に満たない子」を育てていることで、
   ↓
育児休暇が認められる。
逆に言えば、
「満1歳(以上)の子」を育てていても、
   ↓
育児休暇は認められないことになる。
また、いくら直前であっても、生まれていなかったら、育ててはいないので、
   ↓
やはり育児休暇は認められないことになる。

だから育児休暇が認められる期間は「子が、生まれてから、1歳に達するまで、の1年間」ということになる。

ぼんさく
なるほど。よく分かった。
じゃぁ、どうやって、これを法律以上にするの?

ペコポン
まず、この「1年間」を明確にしてみよう。
17年1月1日から1年間っていうと何月何日?

ぼんさく
17年12月31日。

ペコポン
そうだね。
じゃぁ、17年1月1日生まれの子。
この子の1歳の誕生日は?

ぼんさく
18年1月1日だね。

アレ? 育児休暇が取れるのは、「誕生日の前の日まで」なんだ。

ペコポン
気がついたね。

さっき「1歳に達するまで」って言ったけど、「達する日」って誕生日の前の日なんだ。
「1歳に達した日」つまり、誕生日を入れると「1年と1日」になる。
ここまでが、法律の話し。

では、社員の気持ちはどうだろう?
我が子を育てることに専念するため、育児休暇を取っている社員の気持ち。
その子の1歳の誕生日。

ぼんさく
可愛い子どもの、初めての誕生日を心から祝いたいと思うな。

ペコポン
そうだよね。
その誕生日が仕事日だったらどうだろう?

間隔があいての復帰、久しぶりの職場、忘れていた仕事の感覚。

ぼんさく
戸惑いながら、あたふたしながら、1日を終えての帰宅になるだろうな。
それから誕生日を祝うことになる。
「フー、やれやれ」感と一緒に。

ペコポン
じゃぁ、その日が休日だったらどうだろう?

ぼんさく
子ども本人は、誕生日なんて分からないだろうけど、少なくとも夫婦は、仕事日のようにバタバタしないで、誕生日を過ごせるんじゃないかな?

ペコポン
そして心機一転、明日から仕事ヤルぞ!って気にもなると思うんだ。

だから、この「1日」は、たかが1日だけど親である社員にとっては、すごく意味のある「1日」だと思う。

そして、会社にとっては、365日に追加される「1日」なら、なんとかなるんじゃないかな?
どうだろう?

ぼんさく
うん!! これなら、中小・ベンチャー企業にもできそうだ!

ペコポン
もしかしたらお役所は、「1年に、たった1日足しただけで、法律以上と言うとは」って渋い顔するかもね。

ぼんさく
もしそうなら、単に数字だけの、お役所的発想だよな。

ペコポン
社内のことを言えば、どうせだったら社員に説明してあげるといいね。

「法律では誕生日の前日まで、だけど、ウチは誕生日まで、育児休暇を認めているよ。誕生日を家族でゆっくり過ごしてね」って。

それと、ちょっと注意点。
育児休暇の「1日」追加によって、「一定の場合の、育児休暇6ヵ月延長」の際の、開始予定日に「1日」のズレが生じることになる。

中身は「育児介護休業法」編で。


さて、今回は「期間」についての話しだったけど、他にも、法律には「休暇取得の手続き方法」や「対象者」などの最低基準がある。

それらを上回る措置は、いくつも考えられるよ。
今回はその中の、ほんの一例。

ぼんさく
あなたの会社のオリジナル制の度紹介や、ご質問があれば、お寄せくださーい。

わたしの後記


自身や自社のこと、そして経営について、「本」という形にして世に出すことに抵抗がある経営者は、少なくないようです。

ユニクロの柳井氏も「一勝九敗」の冒頭で、そんな一言を断っていたように思います。
つい先頃亡くなられた、ヤマト運輸の小倉昌男氏も現役社長時代、多くあった出版依頼を一切断っていた、といいます。

成功した経営者が、経営談義を出版すると、やがてその企業は不振に陥る、という例を多数見てきていることから、そのジンクスを信じ、守っていたようです。
実際、ヤマト運輸の会長を退任した後、ある理由により「経営学」を出版されました。

ジンクスと言えば、サイバーエージェントの藤田晋氏。
先輩経営者に言われたことを、今も守っているそうです。

「成功しても『馬』と『フェラーリ』は持つな、破滅する」



私自身は、ジンクスらしいジンクスは持っていませんが、車の話しを1つ。

何も恐いものがない、大学時代のことです。
「フェラーリ」ではなくて「ポルシェ」。

特にポルシェのファンというワケでもなく、欲しいとか、憧れとかも何もないのに、なぜか将来自分がポルシェを持っているイメージがありました。
持っている、というか「そばにある」感じです。

そのことを、女友達に言いました。
これは、スキーの腕を競い合った同級生です。

数人で歩きながら。
帰り途。
学校から駅に向かう途中で。

どんな会話の途中だったか、たまたま隣にいたそいつに、「オレ、ポルシェ買うよ」とは言わず、「ポルシェ持つよ」って。

あ、思い出した。
そばを、ポルシェが通ったんだ。

私の言葉を聞いたそいつが、言うじゃありませんか。
「そしたら彼女になってあげるよ」

そこで間髪入れず答えます。
「5号でな」

若僧は、恐いもんなんて、ありませんでした、とさ。



「ところで今、ポルシェ乗ってるの?」

いい質問です。
答えましょう。
「家族で乗れる車がいいなぁ」

「ポルシェと2台、持てばいいじゃない」
それは名案だ。我が妻よ。

でもね。ボクは5人を相手にしていられないの。



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