育児休業中の待遇や休業後の労働条件などの周知


「次世代育成支援対策推進法は、21世紀の経営資源」
メルマガバックナンバー018号(H17.08.02)

あの人の言葉発見


1992年に施行された育児休業法は、90年代のいわゆる「少子化対策」の重要政策の1つだった。
少子化の原因は、働く女性の増加そのものにあるのではなく、仕事と子育てを両立させる支援政策が不十分な点が一因と考えられたためだ。

法施行前は、育児休業は女性労働者の短期勤続を是正し、男女雇用機会均等法を進めるための施策という位置付けだったが、少子化対策の意義も加わり、男女を対象とする労働者の権利として法制化された。

それでは、現状の育児休業制度は、少子化対策、あるいは仕事と育児の両立支援策として、どの程度、機能しているのかを検証してみよう。
利用進まぬ育児休業 現状と限界
ニッセイ基礎研究所 武石恵美子氏
読売新聞 17.1.10 経済

この続き(下記)を、次回から3回にわたって掲載する予定です。
○ 低い取得率
○ 1歳を過ぎたら
○ 同僚の負担に

制度のしくみ


    〔1〕次世代法関連
     1.次世代育成支援対策推進法
     2.行動計画策定指針
     3.行動計画内容
    〔2〕関係法令
     1.育児・介護休業法
     2.労働基準法
     3.男女雇用機会均等法
    〔3〕労働社会保険
     1.給付
     2.保険料等
    〔4〕助成金、奨励金
    〔5〕法人税
    〔6〕次世代法認定企業


〔1〕次世代法関連 3.行動計画内容

〔育児休業を取得しやすく、職場復帰しやすい環境の整備〕
・育児休業中の待遇や休業後の労働条件などの周知

ぼんさく
これは、どんなもの?

ペコポン
会社は、次のことについて社員に周知しよう、というもの。
  • 育児休暇中の待遇
  • 育児休暇後の給料や配置、その他の労働条件
  • 育児休暇を終了したときの仕事開始時期
  • 社会保険料の会社への支払方法
ぼんさく
なんで、こんなことが、わざわざ行動計画になるの?

ペコポン
前2つが、育児介護休業法の本法に、後2つが、育児介護休業法の施行規則に、決められているんだけど、それは「努力義務」なんだ。

ぼんさく
以前、話に出てきた、「〜するよう努めなければならない」ってやつだ。

ペコポン
覚えててくれたんだね。
そのときも話したことあるけど、法律上は「努める」だけでいい。
実行しなくても法律違反ではない。

ちなみに、
「社員が育児休暇を申し出た場合は、さっきの4つの事項を個別に明示しよう」
という規定もある。
この規定も努力義務。

これらの、努力義務であるものを、実際に実施すれば・・・
社員の不安が解消される面がある
 ↓
社員の不安が解消されれば、育児休暇も取りやすくなる
 ↓
育児休暇が取りやすくなることは、次世代法の意図することと合致する
 ↓
だから、行動計画の項目になる、
というワケ。

ぼんさく
なるほどね。

ペコポン
では、周知することを、具体的に見てみよう。
これらを周知する、ということは、それらの取り扱いを、事前に決めておく、ということでもある。

まず、[育児休暇中の待遇]
  • 給料を払うのか、払わないのか。
  • 昇給するのか、しないのか。
  • 人事評価をどのようにするのか。
  • 賞与の算定対象期間に含めるのか、含めないのか。
  • 退職金の算定について、勤続年数に含めるのか、含めないのか。
  • 企業年金に加入している場合は、掛金の支払いをどうするのか。
それぞれ、どう決めてもいい。
法律に「どうしなければならない」という決まりがないから。

ただし、会社に他の休暇制度がある場合、例えば、リフレッシュ休暇などの比較的長期の休暇がいくつかある場合、それらの休暇に比べて、育児休暇のみが不利なときは、「育児休暇を理由とする不利益取り扱い」の問題がでてくることもある。

育児介護休業法は、育児(介護)休暇を申し出たり、取得した社員に会社が、解雇や不利益な取り扱いをすることを禁止しているから。

ぼんさく
これは、制度の相対的な比較だし、合理的な理由があるか、という判断も入るから、一概にはいえそうにないね。

ペコポン
育児休暇中の、その他の細かい部分。
  • 住宅融資などの福利厚生制度を実施している場合、制度利用の可否。
  • 福利厚生施設の利用の可否。
  • 永年勤続表彰などの勤続期間の算定方法。
など。

それからこれは、取り決め自由というわけではなく、決まっている事項。
  • 年次有給休暇の権利発生のための出勤率の算定について、育児休業期間は、出勤したものとする。

一応これも、社員に知らせてあげるといい。

これは労働基準法の話なんだ。
「出勤率」など詳しいことはここでは触れないでおきます。

ぼんさく
これらが「休暇中」のことだね。

ペコポン
つぎ、[育児休暇後の給料や配置、その他の労働条件]
  • 勤務地・部署・職務などの配置について。
  • 給料や賞与などの処遇について。
  • 役職や等級などの地位について。
ぼんさく
なるほど。
「休暇中」「休暇後」のことが、分かっていると、休暇をとることの不安も和らぐってもんだ。

ペコポン
そのつぎ、[育児休暇を終了したときの仕事開始時期]

育児休暇は、法律としては「子が1歳に達したとき」に終了する。
これは、日付がハッキリしているし、事前に分かっていることだから問題はない。

この他にも育児休暇が終了するパターンはいくつかある。
例えば「子が死んだとき」もその1つ。

この場合、休暇終了の日は、「死亡の日」で、客観的に決まるものだけど、では、出勤日をどうするか。

ぼんさく
休暇終了の次の日?

ペコポン
つまり「死んだ日の翌日」ってこと?
ちょっと辛そうだよね。
もちろん、法律の立場からは、いつでも構わない。
だから、会社で決めておいてね、ということ。

ぼんさく
そういうことか。

ペコポン
最後、[社会保険料の会社への支払方法]

育児休暇の期間中は、会社が、社会保険事務所に手続きをすることによって、その人の社会保険料負担を、免除することができる。

本人負担分と会社負担分の両方ともだ。
賞与に対する保険料も免除の対象だよ。

ぼんさく
そうなの?
その間、保険証は使えないの?

ペコポン
免除された期間も、保険の給付を受けること、例えば、保険証を使って医者に行くこと、などは当然にできるんだ。

この保険料の免除をしない場合、本人負担分も、会社負担分も、一旦会社が保険料を納めることになる。

ぼんさく
普通だったら、本人負担分は、給料から天引するよね。

ペコポン
それが、育児休暇期間中「給料の支払いをしない」と決めている会社の場合、天引ができない。
だから会社は、本人負担分について、立て替え納付することになる。

この立て替え納付した分を、本人に精算してもらう場合に、いつまでに、どのような方法で支払うのか決めておきましょう、ということ。

ぼんさく
・免除を受けない
・給料を払わない
・保険料の補填もしない
ケースのときってわけか。

ペコポン
ちょっと注意点。

以前までは、免除の対象期間は、
・子が1歳になるまで
だったのが、
 ↓
健康保険法と厚生年金保険法の17年4月改正により、
・3歳まで免除期間が延長された。

そこで3歳を超える期間、育児休暇を認めている会社は、その期間の免除はできないので、
・会社が負担するのか、
・立て替え納付するのか
 → するのであれば精算の方法
を決めておいたほうがいい。

ぼんさく
なんか今日は勉強になったなぁ。

ペコポン
・・・いつもは、なってないの?

わたしの後記


アメリカ野球の野茂英雄投手が、メジャーからマイナー契約となりました。
サッカーのカズこと三浦知良選手は、J1からJ2に移籍となりました。

両選手とも、日本を代表するトップ選手でした。
少なくとも、選手としてのピーク時には。

その2人の偉大な選手が、一時的かもしれませんが、華やかな大舞台から一歩下がる形となりました。
(野茂選手の場合、チーム解雇は、選手能力とは別の球団事情があるようですが、結果としては、マイナー契約に至りました。)

もしかすると他人の目には、カッコ悪く写っているのかもしれません。
「まだ、やるの?」と。

でも、彼らは辞めません。
まだやれる、というプライドがそうさせているのか。
その競技が好きで好きでたまらないからなのか。

もしかしたら、過去の英雄像を打ち消すほどの、醜態をさらすことになるかもしれないのに。
もしかしたら、耐えられないほどの、罵声をあびせられるかもしれないのに。

それでも、彼らは競技者として、日々淡々と練習に打ち込み、与えられたポジションを全力で全うし、対峙する相手に果敢に立ち向かい、そして、出た結果を受け止めるのでしょう。

それを、まだ繰り返す決意をしている。
カッコイイ。

ボクシングの辰吉丈一朗選手も。
マラソンの高橋尚子選手も。
そして無数のアスリート、経営者、サラリーマンも。



一番いいときに身を引く。
そういう方法も確かにあります。
他人の記憶には、いい映像だけが残ることになります。
でも・・・

カッコいいとか、カッコ悪いとか、人の目にどう映るとか、まったく気にせず、自分自身の立てた目標に、ガムシャラに向かう姿は、カッコイイ。
It's hot!

また・・・
カッコ悪いことを、カッコ悪いのは百も承知で、そんなこと意に介さずに、涼しい顔してこなすのもカッコイイ。
It's cool!

一番カッコ悪いのは、カッコつけてカッコつかないこと。
カッコ悪く写るのことにビクビクして、何もできないこと。



「カッコ悪いモノ」の代表と思われている「失敗」
失敗することは、別にカッコ悪いことじゃないよ。
恥をさらすことは、そんなカッコ悪いことじゃないよ。
そんなことを、将来のある人たちに言っていきたい。
そういう場所を、いろんなところに作っていきたい。



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