育児休業期間中の、代替要員の確保


「次世代育成支援対策推進法は、21世紀の経営資源」
メルマガバックナンバー019号(H17.08.09)

あの人の言葉発見


○ 低い取得率

日本の出生率は一貫して低下傾向にあり、90年の合計特殊出生率は1.54だったが、2003年には1.29まで低下した。

一方、3歳以下の子供を持つ女性のうち、働いていたり、働く意思がある人の割合は、90年に29.3%だったが、2003年には32.2%にしか増えていない。
妊娠・出産を契機に3人に2人の女性が仕事を辞めているという調査結果もある。

少子化対策と母親の就業継続という育児休業制度に期待された役割りは、現段階では十分に発揮されているとは言えない。

また、1歳未満の子供を養育するために育児休業を取得した人に、国から支給される育児休業給付金の初回受給者数を見ると、男女ともに年々増えているが、2003年度で女性が103,019人、男性は459人で、年間に約100万人の子供が生まれることを考えると、育児休業の利用者は少ない。

給付金を受けて育児休業を取得した母親は、生まれた母親の約1割、父親に至っては0.1%にも満たない。
特に男性の取得者数が少ないことは、制度開始以来の大きな問題になっている。
利用進まぬ育児休業 現状と限界
ニッセイ基礎研究所 武石恵美子氏
読売新聞 17.1.10 経済

制度のしくみ


    〔1〕次世代法関連
     1.次世代育成支援対策推進法
     2.行動計画策定指針
     3.行動計画内容
    〔2〕関係法令
     1.育児・介護休業法
     2.労働基準法
     3.男女雇用機会均等法
    〔3〕労働社会保険
     1.給付
     2.保険料等
    〔4〕助成金、奨励金
    〔5〕法人税
    〔6〕次世代法認定企業


〔1〕次世代法関連 3.行動計画内容

〔育児休業を取得しやすく、職場復帰しやすい環境の整備〕
・育児休業期間中の、代替要員の確保

ペコポン
育児休暇取中、代わりに業務を担当する人を新たに確保したり、また、業務内容や業務体制の見直したり、ということが、この項目。

ぼんさく
育児休暇をとった人の仕事を、だれがやるのか。
大きい問題だね。

残る職場の人たちにとって。
「自分たちがカバーするの?」
「だれか他の人が来て、そのまま引き継ぐの?」
「それらを折衷するの?」

育児休暇をとる人にとって。
「私の仕事を職場のみんなにやってもらうのは悪いなぁ。」
「他の人が来るにしても、私の仕事うまくやれるかなぁ。」
ってね。

ペコポン
社員アンケートをとってみると、
「職場の同僚が、育児のために休暇をとることには賛成、だけど、残った自分たちとしては、その人の分の仕事がどうなるのか心配。」
という意見が多いようだ。

また、大手の調査によると、育児休暇をとらない理由に「職場へ迷惑がかかる」ことをあげる割合が、「自分以外に育児をする人がいた」に次いで2番目に高い。

ぼんさく
この辺の、意識改革をしてあげることは重要なんだね。

ペコポン
それと次に、会社にとっての問題。
休暇中の社員に給料を支払わない場合と、休暇中の社員に給料を支払う場合とで整理してみよう。

●給料を支払わないで、職場の人たちでカバーしてもらう
残った社員たちの残業が増えたら、人件費のプラス・マイナスはどうなるかな。
まぁ「減」になるのかな。

●給料を支払わないで、新たに人を補充する
同じ給料で一時的に雇ったとして、人件費のプラス・マイナスはゼロだね。

●給料を支払って、職場の人たちでカバーしてもらう。
残った社員の残業が増えたら、その分人件費はプラスだね。

●給料を支払って、なおかつ新たに人を補充する。
人件費は完全に1人分プラス。
というコスト面の話。
もちろんそれだけではない。
仕事の質が保たれるか、なども大きい問題。

ぼんさく
職場の人たちだけでカバーした場合は、「代替要員の確保」って認められるの?

ペコポン
その場合は、次世代法のいう「代替要員の確保」とは言えないんだ。
だからその場合は、行動計画内容のこの項目には該当しないから、他の項目を検討することになる。

「代替要員の確保」のパターンとしては、次のようなものが考えられるでしょう。

●育児休暇期間と同じ程度の期間を雇用契約期間としたパートや契約社員の雇用

●育児休暇期間と同じ程度の期間を派遣契約期間とした派遣社員を受け入れ

●契約期間を限らない、正社員の雇用
(休暇取得者の復帰後は1人人員増の結果となる)

ぼんさく
パートや契約社員の雇用期間、派遣の受け入れ期間は、引き継ぎ期間を含めると、育児休暇に入る前から必要になりそうだよね。

ペコポン
実務的にはね。
ただし、次世代法では
●休暇取得前から、雇用・受け入れ
●休暇取得と同時に、雇用・受け入れ
●休暇取得後、しばらくして雇用・受け入れ
のどのタイミングでも、行動計画の項目には該当することになるよ。

ぼんさく
へぇ、そうなんだ。

ペコポン
要は、代わりの人がいることで、育児休暇が取りづらいのを解消できれば、OKということ。

ぼんさく
なるほど。

ペコポン
ところで、コストアップに対して助成金がある。
「育児休業代替要員確保等助成金」
詳しくは「助成金」テーマのときに取り上げるとして、今回関係する部分の話。

この助成金は「代替要員を確保すること」が要件の1つなんだけれども、この場合の「代替要員の確保」は、少し条件がある。

「3ヵ月以上の育児休業期間中において、代替要員を確保した期間が3ヵ月以上あること。」
というもの。

次世代法では、休暇についても、雇用・受け入れについても「○ヵ月以上」など具体的な期間の条件はない。

また、助成金では、次の条件もある。

(1) 育児休業取得者が育児休業前に就いていた部署(係、ライン、チーム等)、職務、所定労働時間と、代替要員(派遣を含む)の部署、職務、所定労働時間が同じであることが必要。

(2) 育児休業取得者が管理職等であるため、育児休業取得者の職務を他の社員が担当し、その社員の職務に代替要員を確保する場合(いわゆる「玉突き」の場合)も、支給対象となる。

ただし、この場合も育児休業取得者と代替要員の所定労働時間が同じであること、代替要員は育児休業取得者が属する部署で、当該部署の職務を行うことが必要。

つまり、育児休暇の取得者と、その代わりの人の部署・職務・労働時間が同じで「代替要員の確保」と認められる。

これを満たさないと、この助成金は受けられない。

このように、同じような事柄で、助成金と次世代法の行動計画や認定基準とでは少し違う部分があるから注意する必要がある。

次々回のテーマ「原職または原職相当職」についてもこのような違いがある。

ぼんさく
ややこしいんだね。

ペコポン
へこたれるところじゃないよ。

わたしの後記


先日、身内の葬儀がありました。
天寿を全うでき、大往生です。

みんな「これはお祝い」とサッパリとした心境で送りだすことができました。
故人も心置きなく逝けることでしょう。

さて、葬儀です。
おそらく、日本の大部分の地域で行われ、日本人の多くの人たちが経験しているであろう、ごく一般的な形式で行われました。

通夜があって、告別式があって。
お坊さんにお経を読んでもらって、火葬して。
っていう、アレです。

今回の葬儀は、東京から車で4時間くらいかかる場所。
都合上、2日目の告別式だけの出席です。

早朝出発。時間に余裕をもたせて。

ところが、こともあろうか、高速道路で事故渋滞に巻き込まれてしまいました。
数十メートル動くのに1時間を費やす。渋滞20km。

「マズイなぁ・・・」
今は、ホントォォォゥゥーーーに便利ですね。
ケータイ電話があります。

車の中から、妻が、数日前から到着している義父にメールします。
「渋滞中 遅れるカモ」午前9時。

そしてほどなく、返信。
「了解 心配するな3時からの初七日には間に合うでしょう焦らずゆっくり来な」

今は、告別式が終わるとすぐ、初七日の法要をしますよね。
七日目ではありません。

連絡がとれたことで、とりあえず心が落ち着く。
と、今までいっぱいだった頭の中にスキ間ができます。

「初七日ってなんで『7』なのかな?」と妻。
「うーん・・?」



そんな車中の会話など、知る由もないお坊さんが、初七日を終えた後、その意味するところを話してくれました。

「昔は、交通の便が今のように発達していない。
訃報を聞いても、通夜や告別式に間に合わない人が数多くいた。
それでも七日あれば、なんとかなった。
そんな人たちのために、施主は七日間、迎える準備をしておき、ご飯を振る舞った。
ご飯は飲み込むのではなく、故人の思い出をかみ締めるためにある。
だから七日間は葬式だったのです。
ただし、現代の交通では、すぐ集まれる。
七日を待たずに、初七日のお経をあげるのです。」

こんなような内容でした。
昔も今も供養する人たちの事情にあわせているんですね。
まぁ、内容については「へぇ〜」ってなモンです。
それよりも。

数時間前の「何で?」の疑問の答えが、今、目の前に出されている。
そのことに驚きです。
シンクロニシティ?

まだあります。驚きが。
一時は間に合わないと思った告別式に、無事参列できたのです。
時間ピッタリに到着しました。
これ以外にはない、といういいタイミングで。

到着するや親戚方々が、口々に言ってくれます。
「遠いところをありがとう」

その顔を思い出すと思います。
「間に合って本当によかったなぁ」
護られている?
そう感じずにはいられません。
日々の命に感謝です。



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