フレックスタイム制


「次世代育成支援対策推進法は、21世紀の経営資源」
メルマガバックナンバー024号(H17.09.20)

あの人の言葉発見


子育て支援策の一環として、正社員でありながら勤務時間を短くした「短時間正社員」など、多様な働き方が注目されている。
(前回から、つづき)

○ 労働時間は自由

勤務時間そのものを柔軟にした企業もある。
兵庫県の多様就労型モデル企業に選ばれた、データ入力・加工会社「エス・アイ」(姫路市・社員70人)だ。

月168時間を上限に、社員が労働時間を自由に決める。
雇用期間の定めはなく、月の労働時間が120時間を超える場合は、社会保険に加入する。

育児で勤務時間を抑えている人は10人弱。
女性取締役(43)は、「仕事が好きだけどフルタイムは無理という人もここなら働ける」と話す。

○ 案ずるより

厚生労働省によると、従業員30人以上の企業で働く女性の育児休業取得率は年々伸び、約7割。
しかし、出産前に働いていた女性の7割が出産半年後には仕事を辞めているとの調査もある。

そんな中、身分が不安定なパートにならず働き続けられる短時間性社員への期待が高まっている。
企業からは、評価・処遇の難しさや、同僚への仕事のしわ寄せなどの課題が指摘されている。

だが、同省が04年公表した実態調査(646社回答)では、短時間性社員制度の導入企業には雇用上の一定の効果があり、課題も、非導入企業が懸念するより少ない状況が明らかになった。

導入企業の 59%が、導入効果として「雇用の維持」を挙げたのに対し、
非導入企業が、導入時に見込まれる効果として同項目を挙げたのは 53%。

「社員の勤労意欲の向上」についても
導入企業  28%
非導入企業 20%
と有意な差が出た。

一方、非導入企業の
91%が「賃金制度」、
74%が「評価制度」を課題に挙げたのに対し、

導入企業では、
「賃金制度」88%、
「評価制度」69%。

ニッセイ基礎研究所・武石恵美子氏は、
「案ずるより生むがやすしで、仕事の配分方法や人の配置を見直せばメリットが大きいことが分かった」と分析している。
短時間正社員 導入企業が高評価
「出産退社」減り やる気アップ
読売新聞 17.5.4 くらし

制度のしくみ


    〔1〕次世代法関連
     1.次世代育成支援対策推進法
     2.行動計画策定指針
     3.行動計画内容
    〔2〕関係法令
     1.育児・介護休業法
     2.労働基準法
     3.男女雇用機会均等法
    〔3〕労働社会保険
     1.給付
     2.保険料等
    〔4〕助成金、奨励金
    〔5〕法人税
    〔6〕次世代法認定企業


〔1〕次世代法関連 3.行動計画内容

〔短時間勤務制度等の実施〕
・フレックスタイム制

ペコポン
フレックスタイム制は、ポピュラーな制度。
知っている人も多いと思う。

ぼんさく
社員が、出社や退社の時間を好きに決めていい、っていうものだよね。

ペコポン
そう。
でも、制度の導入や運用について、具体的に知っている人は少ないんじゃないかな。

ぼんさく
へー、いろいろありそうな口ぶりだね。教えてよ。

ペコポン
直接「次世代法」の範囲ではないので今回はごく簡単に紹介するね。
やることは3つ。
  • 労働時間の枠組みを決める。
  • 就業規則に記載し、労使協定を結ぶ。
  • 就業規則と労使協定を労働基準監督署へ届け出る。

これで、その会社がフレックスタイム制であることが法的に認められる。

フレックスタイム制では、ぼんさくが言ったとおり、出社時刻、退社時刻は、社員が自由に決める。
いい加減に制度を導入している会社は、ここ止まり。

この先の話もある。
いくらフレックスといっても、労働時間の限度があるんだ。
通常の労働時間制では、「1日」8時間、「1週間」40時間、の限度内で、それぞれ単位について会社が決めている。

でも、フレックスタイム制では、各日・各週では定めないんだ。
「1ヵ月以内の一定の期間」について決める。
「1ヵ月以内の一定の期間を平均して1週間当たり40時間を超えない時間」
これが、フレックスタイム制の場合の、労働時間の限度だよ。

ぼんさく
これが「労働時間の枠組み」か。
ふむ、ふむ。

ペコポン
次は、ルールブック。
「就業規則」には、フレックスタイム制を採用するという大枠を、「労使協定」には、フレックスタイム制についての細かいことを、それぞれ定める。

細かいことっていうのは、
フレックスタイム制が適用される社員の範囲や、
1ヵ月以内の一定の期間(=清算期間)、
その期間(=清算期間)の総労働時間、
1日の標準となる時間、
など、労働時間の決めごと。

ぼんさく
聞きたいことが、たくさん出てきたぞ。

ペコポン
まぁ、今回は我慢してね。
「届出」については、省略させてもらいますが、ここまでが導入面。

運用面についても、ちょっと触れておこう。

「清算期間の総労働時間」という、枠を決めたよね。
この枠を超えて働いた場合、それは「時間外労働」、つまり「残業」。

でも、1日の出退勤が社員の自由に決められるフレックスタイム制では、清算期間の労働時間が、その枠に満たない場合もあり得る。

その場合、その月の給料の支払いをどうするか。
2通りある。

  • 不足時間分をその月の給料から差し引く(賃金カット)
  • 不足時間分を翌月に繰り越して、その月の給料は満額支払う

このどちらかを、事前に決めておく必要がある。

ぼんさく
なんだか、ややこしくなってきたな。

ペコポン
これでやっと「次世代育成支援」に関係することに話がつなげられるよ。

まず1つ。
フレックスタイム制では、利用できる社員の範囲を任意に設定できるんだ。

ぼんさく
「労使協定」で決める部分だね。

ペコポン
次世代育成支援として、フレックスタイム制を活用する場合、
「出生から小学校入学するまでの子を養育する社員」
などと適用対象者を規定することになる。
これが、1つ目。

そして、2つ目。
例を2つあげるよ。

まず、社員がフレックスタイム制を“臨時的に”利用する場合。

例えば、いつもはパート勤務の奥さんが保育園の送り迎えをしている。
けれど、体調を崩して今日は無理、というとき。

旦那さんである男性社員が、その日の送り迎えをするため、フレックスタイム制を利用して、出退勤時間を調整する、というケース。
こんなときは、特別な話はない。

これとは違うケースについて聞いてほしい。
“恒常的に”フレックスタイム制を利用する場合だ。

例えば、保育園の送り迎えを、毎日するようなケース。
こんなときは、毎日、出社は遅く、退社は早く、ということになる。
ということは、清算期間中の労働時間は、必ず短いってことになる。

そこで、さっき運用面で話した「賃金カット」の方法を選択していれば、結果的に「短時間勤務制度」と同じ効果になる、ということ。

つまり、「フレックスタイム制」で「賃金カット」を採用することにより、
→「短時間勤務制度」を利用したい社員と
→「フレックスタイム制」を利用したい社員の
両方のニーズに応えることができるんだ。

これを話したかったんだよ。ふぅ。

ぼんさく
おおー、ペコポン。ありがとう。
なんだか、いつもより疲れてるね。

わたしの後記


「通風対策に、健康のために、青魚や納豆を食べよう。」
と、以前このコーナーで、お話ししました。
(020号「育児休業をしている社員の職業能力の開発・向上のための情報提供」の「わたしの後記」コーナー参照)

ところが! 最近、偶然耳にしました。
遺伝など先天的に尿酸値が高い人は、青魚や納豆を食べ過ぎないほうがいいそうです。
軽率でした。
意外でした。
まさか、まさかの大どんでん返しでした。

先天性尿酸値過多(→正式名称ではありません)の人。
「青魚や納豆は控え目にしましょう。」
訂正するとともに、謹んでお詫びいたします。



万物に良いモノ、なんてナイんですね。
イイ勉強になりました。

常識は、イツモ通用するとは限らないんですね。
イイ勉強になりました。

門外漢が言うことは、鵜呑みにしないほうがイイですね。
イイ勉強になりました。

押し付ける気はなくて、ヨカッタ〜。
(020号「育児休業をしている社員の職業能力の開発・向上のための情報提供」の「わたしの後記」コーナー参照)



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