仕事の開始・終了時刻の繰上げや繰下げ制度


「次世代育成支援対策推進法は、21世紀の経営資源」
メルマガバックナンバー025号(H17.09.27)

あの人の言葉発見


働きながら子育てしやすい社会は実現可能なのか―。

手探りが続く企業の子育て支援の現場を紹介する。

○ 親子の時間 社長も優先

「お疲れさんっ」
秋田県小坂町のプレス金型設計会社「カミテ」。
社長(43)は、毎日午後7時には退社、5歳の長女が待つ自宅に戻る。

「夕食は一緒で、風呂に入れたり、絵本を読んだり。今は親子で『宝探しゲーム』に熱中してます」

夜10時までの残業が当然だった社長が定時退社を心がけるようになったのは、長女が生まれた99年。
産後の体調が悪い妻を気遣ったのがきっかけだ。

会議は限られた時間で結果をだすよう段取りした。
営業活動も効率的に回る工夫をし、酒のつきあいも極力やめた。
取引先から干されるかと懸念したが、「良い製品を納入する限り影響はありませんでした」。

社長の働き方が変わったころから会社の雰囲気も変化した。
カミテは社員32人で女性は17人。
平均年齢32歳の若い会社だ。

社長と同時期に要職の女性社員たちが次々出産、育児期を迎えた。
社長は、会社の敷地内に保育料が無料の社内託児所を設置。
子ども看護休暇制度などの育児支援策を始めた。

もともと同社は、1人が複数業務に精通する「多能工」育成を目指す。
長期休業者が出ると、別の仕事を経験させる「いい機会」ととらえた。

今月から育児休業推進チームも作り、業務体勢も再検討している。
4歳の長女を3月まで社内託児所に預け、第二子ができたら「育休をとりたい」という製造課長(33・男性)は「みんな、次は自分の番だから、お互いさまという雰囲気がある」。

社長も言う。
「育児支援は短期的にはお金はかかる。でも、私や社員が我が子と向き合えたら、家庭も安定し、良い仕事ができるはず。長く生き残れる会社にしたいのです」
変わる?子育ての風景
動き出した次世代法
朝日新聞 17.4.26 生活

次回に続きます。
○ 毎日が「ノー残業デー」
○ パパの帰宅 夜9時以降が半数

制度のしくみ


    〔1〕次世代法関連
     1.次世代育成支援対策推進法
     2.行動計画策定指針
     3.行動計画内容
    〔2〕関係法令
     1.育児・介護休業法
     2.労働基準法
     3.男女雇用機会均等法
    〔3〕労働社会保険
     1.給付
     2.保険料等
    〔4〕助成金、奨励金
    〔5〕法人税
    〔6〕次世代法認定企業


〔1〕次世代法関連 3.行動計画内容

〔短時間勤務制度等の実施〕
・仕事の開始・終了時刻の繰上げや繰下げ制度

ぼんさく
これは
・仕事の開始時刻を早めたり、遅らせたり、
・仕事の終了時刻を早めたり、遅らせたり、
っていうことでしょ。

ペコポン
うん。パターンとしては8通り設定できる。

●「開始のみ早める」
○「開始のみ遅らせる」
○「終了のみ早める」
●「終了のみ遅らせる」
○「開始→早める  終了→早める」
○「開始→遅らせる 終了→遅らせる」
●「開始→早める  終了→遅らせる」
○「開始→遅らせる 終了→早める」

このうち
●「開始のみ早める」
●「終了のみ遅らせる」
●「開始→早める 終了→遅らせる」
の3つは、1日の労働時間が通常より多くなる。

多くなった結果、法定の8時間以内なら問題はないけど、子育て支援のための「短時間勤務制度等の実施」とははなれることになるから、ここでは説明を除外するね。

また、
○「開始のみ遅らせる」
○「終了のみ早める」
○「開始→遅らせる終了→早める」
の3つは、
「短時間勤務制」のうち
・1日の所定労働時間を短縮する制度
と同じになるから、これも今回は触れない。
(023号「短時間勤務制」参照)

ぼんさく
・1日の所定労働時間を短縮する制度のバリエーションとして考えればいいってことだね。

ペコポン
今回ピックアップするのは、この2つ。
○「開始→早める 終了→早める」
○「開始→遅らせる 終了→遅らせる」

それぞれ早める時間、遅らせる時間が同じならこれらは「短時間勤務制」と違い、必ずしも勤務時間が短くなるとは限らない。

ぼんさく
働く時間が、前や後ろにズレるってことだ。
なんか意味あるかな?
「短時間勤務制」でいいと思うけどな。

ペコポン
「朝の数時間さえあれば、夜は少し遅くても平気」
または
「朝は少し早くても平気だけど、夕方時間が欲しい」
という子育て社員にとって便利。
まぁ、少数派のニッチな制度だとは思うけど。

でも、会社にとっては、労働時間を減らさないで、子育て支援できる、というメリットがある。

また、「短時間勤務制」の回で話した、人事評価について。
(023号「短時間勤務制」参照)
労働時間が減ることによる調整をするか・しないか、という問題は、気にしなくてすむことになる。

ぼんさく
なるほど。気がつかなかったな。

ペコポン
この「繰上げ・繰下げ制度」は、ちょっと「フレックスタイム制」と似ているところもある。
それは、出社退社時刻が、定時とズレるという意味で。

違う点は、
「フレックスタイム制」は、その都度、社員が自由に決められる
「繰上げ・繰下げ」は、恒常的・固定的
というところ。

ぼんさく
「繰上げ・繰下げ制」の出退勤時刻は、どうやって決めるの?

ペコポン
一律に決めることもできるし、社員ごとに、決めることもできる。

ぼんさく
ある程度、時間の幅を持たせて、その時間帯に出社・退社していい、というのは?

ペコポン
そういう取り決めもできる。
似たようなのがあったよね?

ぼんさく
「短時間勤務制」のうちの
・社員が個々に勤務しない時間を請求することを認める制度
の話しときだ。

決まった時間じゃない、一定の幅をもたせる決め方でもOK、っていうのがあった。
(023号「短時間勤務制」参照)

ペコポン
それらは、効果としては「フレックスタイム制」のコアタイム・フレキシブルタイムありと同じだね。

ぼんさく
じゃぁ、意味がないってこと?

ペコポン
いや、違いはあるんだ。
「残業時間」の把握の仕方が違う。

ぼんさく
ということは、「残業時間」が違ってくるってこと?
つまりは、「残業代」も違ってくるの?

ペコポン
そういうこと。
「幅あり繰上げ・繰下げ」
「社員請求・短時間勤務制」
のほうは、
1日・1週間の単位で、残業時間が確定する。

「コア・フレキシブルありフレックスタイム制」のほうは、
1日・1週間の単位ではなく、
1ヵ月以内の一定期間で残業時間が確定する。

ぼんさく
「フレックスタイム制」は、ほかの日に調整可能ってわけだ。

わたしの後記


「早い」の反対は?
「遅い」ですよね。

「早く」は、「遅く」。
「早生まれ」は、「遅生まれ」。
「遅かれ早かれ」なんて言葉もあるなぁ。

では「早める」の反対は・・・?

最初「遅める」って書きました。
変換がうまくいかない。
「おそめ」と「る」に文字切って変換。
しばらく進む。
よし、今日はココまで。
離れる。

んー。
何かが心に引っかかってる。
うーん。

アレ。
「遅める」ってナンかヘン。
そんな言葉あったかぁ?

辞書、調べる。
・・・ない。
「遅める」なんて単語、ないよ、やっぱ。
「遅らせる」だよなぁ。
あー、ヨカッタ、配信前で。



言葉の間違い。
ヘンな言葉の使い方。
ちょっとビックリしたことがあります。
たまたま目にしたテレビが言ってました。

「こだわる」は、本来良くない意味で使うんだそうですね。
知らなかったの私だけ?

「こだわりの味」とか、「職人のこだわり」とか。
なんかこう、「時間や情熱や労力をいっぱい費やしてつくったいいモノ」とか、「一切の妥協を許さず、満足いくまで、とことんつくりあげる立派な姿勢」とか。
「こだわる」ことは、価値のあることのように感じていたのは私だけ?

ところが「こだわる」とは、『どうでもいい(とらわれてはならない)問題を必要以上に気にする』ことだそう。



言葉の本来の意味や、使い方、といったテーマで言えばそういうことらしい。

でもどうやら、それだけでもナイみたい。
生き方についても―そういうことらしい。
やっぱり「こだわる」生き方っていうのはどうも具合がヨクナイらしいですね。

人間というのは知らず知らずのうちに「こだわって」いるみたいです。
多かれ少なかれ。
いろんな場面で。

そう。
「こだわる」って自由・不自由でいったら、不自由。
知らず知らずのうちに自分で自分を不自由に追い込んでいるのが人間、っていうことになるのかな。

不自由じゃ、やっぱり具合はヨクナイよなぁ。
自由になるコツは『必要以上に』気にしないことかぁ。

そうか! ヨシ! 「遅める」でもいいや。



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