事業所内託児施設の設置と運営


「次世代育成支援対策推進法は、21世紀の経営資源」
メルマガバックナンバー027号(H17.10.11)

あの人の言葉発見


保育園待機児の多い都心で、大企業が社内保育所をつくりはじめた。
通勤が大変、園庭がない、近所の友達ができにくい、コストがかかるなどの理由から、ニーズはあっても開設には至らないケースが多かった。
デメリット克服のための秘策は?

○ 工夫いっぱい 都心の企業内保育施設

・まず、気になるのが子連れ通勤。
保育園児は荷物が多い。
何着もの着替え、お昼寝用シーツ、乳児ならオムツも。
その上、仕事カバンに子ども・・・。

これに対し「都心で成功するには、親の荷物を減らす努力や、フレックス通勤などの配慮が不可欠」と話すのは、ヤマト運輸や資生堂などの社内保育所に人材やノウハウを提供するポピンズコーポレーション。

今年4月、東京都台東区駒形のバンダイ本社別館内にポピンズが開設した都の認可保育所「ポピンズナーサリー駒形」は、エプロン、タオル、シーツなどは園が用意し洗濯もする。
親の持ち物は連絡帳1つ。荷物整理も職員が行うので、朝の受け渡しは1分で済む。

バンダイ側も、従来は3歳未満の子どもがいる社員に限っていたフレックス出勤や短時間勤務制度の対象を就学前までに拡大し、ラッシュ回避に配慮した。

・利用者自身の発想の転換も必要だ。
資生堂の保育施設「カンガルーム」(港区汐留)に2歳の長男を預ける同社社員の女性(33)は「通勤中は子どもと向き合える貴重な時間」と前向き。

ベビーカーで通うために、全駅エレベーター設置の都営地下鉄大江戸線沿線にわざわざ引っ越したという。

・園庭はどうか―。
千代田区の日比谷公園には日中、各社の社内保育園児が遊びに来る。
「晴れた日は必ず散歩に出かけるので運動不足の心配はない」(新生銀行)

公園や再開発でできた広場など、都心にも意外と緑の遊び場が多い。
交通量の多い道を渡るのも交通ルールの勉強になるとか。

・子どもの友達づくりも悩みのタネだが、さすがに「近所のお友達」は社内保育所ではつくれない。
在籍児の多くはゼロ―2歳児。居住地の認可園が空くと、転園していくケースが多いという。

・企業側の出費も、開設・運営にはネックだ。
「これは人材投資」とズバリ言い切るのは資生堂。
社員の7割が女性、常時300人が育休中という状況だけに、改装費5000万円も
「幅広い人生経験を積んだ社員が、商品開発や接客で還元してくれれば」と太っ腹。

○ 複数企業による相乗り施設も

コストを下げるため、専門業者に運営を委託するケースが多いがそれでも企業の負担は大。
そこで注目されているのが、複数企業が相乗りする新形態。

例えば、2003年にできた「キッズスクェア六本木ヒルズ」は、ビルに入っている複数の企業が園と法人契約を結び、社員の利用時間に応じて補助券を出す。
会員制スポーツクラブに似たシステムだ。

デメリットを補うだけではなく、プラスαのサービスを行う所も多い。
他園に預けている社員でも週末出勤時には一時保育を受け入れたり、深夜勤務職場では24時間営業だったり。

希望者にお受験対策や創造体験学習を施す所や、社内の管弦楽サークルの生演奏を聞かせてくれる所もある。
いずれも“次世代育成支援の象徴”として、他社との差別化に一役買っているようだ。

○ 設置企業の7割が入社希望者増加

第一生命経済研究所の調査(2004年)では、事業所内保育施設を持つ全国の民間企業のうち、84%が「従業員の仕事と育児の両立支援」、80%が「人材の確保・定着」を設置目的に挙げ、その結果として69%が「入社希望者が増えた」と答えている。

同研究所は「待機児童が多い都心では、事業所内保育施設が預け先が見つかるまでの貴重な橋渡し役になっている。認可園がニーズに即座に対応できない分、両立支援に積極的な企業には公的支援を拡充していい。保育の質を維持するため、行政による監視・監督も必要」と提言している。
企業側の負担も少なくないが・・・
「優秀な社員確保の“投資”」
東京新聞 17.6.25 暮らし

制度のしくみ


    〔1〕次世代法関連
     1.次世代育成支援対策推進法
     2.行動計画策定指針
     3.行動計画内容
    〔2〕関係法令
     1.育児・介護休業法
     2.労働基準法
     3.男女雇用機会均等法
    〔3〕労働社会保険
     1.給付
     2.保険料等
    〔4〕助成金、奨励金
    〔5〕法人税
    〔6〕次世代法認定企業


〔1〕次世代法関連 3.行動計画内容

〔事業所内託児施設の設置と運営〕

ペコポン
コレ、会社の中に、保育園つくっちゃおう!っていうもの。

ぼんさく
話しが大きいよな〜。無理、無理。
大企業だけだよ、そんなことできるの。
スペース、お金、保育そのもの、中小・ベンチャー企業には、ないものだらけ。

ペコポン
自社でやるとなると、確かに大変。
一企業単独で、設置から、運営から、全部やっているところはそんなにないんだ。
大企業がやっているのも、設置は自社、運営は保育専門会社へ委託、とうい方法が主流。

ぼんさく
どっちにしても、中小・ベンチャー企業には関係ない話だね。

ペコポン
いや、そうでもないんだ。
最近、「複数企業による共同設置」が注目を浴びている。
そして運営は、保育専門会社へ委託。

また、保育専門会社が運営する、ビル内の保育室に、同じビルの複数の企業が法人契約をして、保育サービスを受ける、というしくみもある。
会員制システムのようなものだ。

ぼんさく
へぇ〜。
中小・ベンチャー企業でも、やりようはあるんだ。
でも、共同設置って難しそうだね。

ペコポン
うん。取りまとめるところがないと難しい。
施設内保育を実施したい1社が動こうとしても、進まない。

ぼんさく
保育サービス会社さーん、頑張ってくださーい。
地域の会社をまとめてくださーい。

ペコポン
それが上手く運べば、中小・ベンチャー企業社員の託児所利用もイッキに広がるだろうね。
世の中の景色が変わるかもしれない。

ぼんさく
そうなったら、スゴイな〜。

ペコポン
この託児施設の設置・運営に対しては、助成金があるよ。
「事業所内託児施設助成金」
かかる費用も大きいから、もらえる助成金の金額も大きい。

代表的なもので「設置費」と「運営費」。
設置に要した費用の2分の1(限度額2,300万円)、運営にかかる費用(人件費・建物貸借料)の2分の1、1年間の限度額は保育の定員数や形態によって380万円弱〜1000万円くらいまで。
半分はもってもらえるよ。

ぼんさく
半分しか、もってもらえないのか。

ペコポン
むむむむむ。
なんてマイナス思考な・・・。
見えないプラスを、見逃すな。

わたしの後記


今回、企業内の託児施設をテーマにしました。
それは「自社社員向け」のもの。

このコーナーでは、社員向けでなく、お客さん向けの話しをしましょう。

集客アップの切り札として、「託児所」を設けているところもあるようです。
映画館、カラオケ、マンガ喫茶、エステ、などで。
集客増・売上増の実績を上げているそうです。
ちょっと大規模なものでは、ショッピングモールや、イベント会場など。

「託児所」は、小売業、サービス業の集客に威力あり。
設備の初期投資と、人件費コストを吸収できれば、実行すべし、というところでしょうか。
保育サービスは、運営委託をしたり、保育士の派遣を受けることができます。

ところで、意外にも、話しを聞かないのがデパート。
それとも知らないの私だけなのかな?

デパートは、売場が命。
売場スペースは売上高に直結。
託児所を設置して売場面積を減らすことは、売上減になる、との判断か。
話題性あり、宣伝ネタよし、集客効果もバッチリ。
だと思うんですけどね。

自分のところで買い物していない人が、子ども預けることを警戒か。
原則有料、買い物レシート金額によって一時保育料割引。
やりようはあると思いますけどね。
駐車場みたい。



図書館をよく利用します。
そこで―
小さい子が、騒いだり、ムズがっていたり、の場面。

若い母親が、困っていたり、放っておいたり、の場面。
よく見ます。

別の場所に、子どもが騒いでいられる空間があればいいのにな、と思うことも。

まぁ、図書館に望むのは土台無理。重々承知。
お金かけて集客する意味、ないですもんね。
かけるお金は、税金だし。

ちょっと、頭のゲームしましょ。
母親が一人になりたいところ。
母親同士が集まるところ。
夫婦が一緒になって、何かしなければならないところ。
そこには、多少なりとも、託児所の需要があるんだろうな。

静かにしてほしいところ。
そういえば、葬儀。斎場で。
声を上げる幼子、泣きわめく赤ン坊、を抱える若い母親が、申し訳なさそに、困っている場面もよく見ます。

でも。
悲しみの中、すすり泣きの中。
無垢な言葉や、命の音に、「うるさい」と煩わされたことはなし。
それどころか、慰めになる、微笑ましくなるような気もするし。
何かを失くす悲しみよりも、これからに向かうエネルギーのほうが、強いのかな。



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