子育てサービス費用の援助


「次世代育成支援対策推進法は、21世紀の経営資源」
メルマガバックナンバー028号(H17.10.18)

あの人の言葉発見


典型的な男性職場だった自動車産業の中で、日産は今年4月、神奈川県厚木市の研究開発センターに、社員向けの託児所「マーチランド」を開設した。

現在、定員約40人の半数近くが利用されており、出勤時に子供を預ける風景が定着した。
開所時間は、午前7時半から午後10時まで。

「急な残業でも安心して仕事ができる」
「軽い病気なら対応してもらえる」
と、利用者の半数を占める男性社員の評判も上々だ。

次世代法〜を受け、日産は今後2年間に実行する同社の行動計画の目玉にこの託児所を据えた。
また、管理職全員を対象とした研修の実施なども盛り込んだ。
「多様な働き方の実現は従業員のやる気を高め、より良い製品を生み出すことにつながる」と、同社ではメリットを強調する。
企業取り組みに差
働き方二極化も
読売新聞 17.5.25 くらし

最近の施策で目立つのが企業内保育所だ。
先行企業の多くが採算度外視で運営しているのにもかかわらず、増えている背景には、支援サービス業の台頭がある。

2002年以降に開設した日本郵船、新生銀行、トヨタ自動車などのいずれもが、専業大手のビジョンハーツに運営を委託している。

一般向けとしては、鉄道会社が駅に隣接して設置している「駅型保育所」をはじめ、今年の秋には、丸の内再開発の一環である東京ビル内に三菱地所が託児所をテナント入居させる。

買い物客のための一時預かりも含めた都心型子育てスペースは、オフィス街の託児所運営として注目されている。

都心型保育所にとってのネックはラッシュ時の子どもを伴った通勤だが、新生銀行では、クルマで通勤し、地下駐車場の利用を認めることで対応している。

企業内保育所の利点は、会社の営業カレンダーに合わせた運営が可能なことだ。

日産自動車ではこの4月、厚木のテクニカルセンターに初の保育所を開設した。
「育児休暇の延長(満2歳を過ぎた4月末まで)と並んで、託児所運営は支援策の柱。
親の残業にも対応でき、病児保育も可能な体制にした」という。
特別レポート
「子育て支援拡充に加え投資商品をも
生み出す『次世代法』の“威力”」
週刊ダイヤモンド 17.6.25号

トヨタ自動車は来春、工場で働く女性社員を対象にした社内託児所を開設する。
事務職が主に利用する託児所は本社(愛知県豊田市)近くに2ヵ所あるが、工場従業員も働きながら育児ができるように預けやすい工場近くに新設。
工場での労働を考慮して妊娠3ヵ月前後で休職できる制度も検討する。

トヨタは少子高齢化による労働力不足をにらみ工場で働く女性社員を増やしており、託児所新設はこの一環。
工場が集積する三好地区(愛知県三好町)に子供40人を預る託児所を設ける計画だ。

2002年から多様な人材の活用を進めるプロジェクトを開始、特に女性が働きやすい環境を整備している。
現在ある2ヵ所の託児所では約70人を預っている。
働く女性の子育てカイゼン
トヨタ、工場に託児所
日本経済新聞 17.9.16

制度のしくみ


    〔1〕次世代法関連
     1.次世代育成支援対策推進法
     2.行動計画策定指針
     3.行動計画内容
    〔2〕関係法令
     1.育児・介護休業法
     2.労働基準法
     3.男女雇用機会均等法
    〔3〕労働社会保険
     1.給付
     2.保険料等
    〔4〕助成金、奨励金
    〔5〕法人税
    〔6〕次世代法認定企業


〔1〕次世代法関連 3.行動計画内容

〔子育てサービス費用の援助〕

ぼんさく
「子育てサービス」ってなんのこと?

ペコポン
例えば、ベビーシッター。
  • 会社とベビーシッター派遣をする会社とが契約をして、社員にベビーシッターを手配してあげる方法
  • 社員が自分でベビーシッターを利用して、そのかかった費用を会社が援助してあげる方法
など、が考えられる。
どちらにしても費用援助の範囲は、「全部」とは限らない。
「一部」援助でもOK。

ぼんさく
なるほど。
社員が、ベビーシッターを利用しやすくなる。
ベビーシッターを利用しやすくなれば、仕事も続けやすくなる、というわけか。

ペコポン
この「援助」するお金は、大きく見れば社員に対する給与と同じ性格と言える。
ただし、「使いみちを限定した」給与。

家族手当、出産手当、扶養手当など、子が生まれたことに対して給与が増えるしくみのある会社が、子育て費用を援助することは、ある意味、支給がダブることになる。

でも、行動計画は、もともと会社にある場合の、それらの手当よりも、新たにはじめる「子育て費用援助」のほうが評価される。

ぼんさく
それらの手当が、もともとない会社が、手当を新たに導入した場合は?

ペコポン
そういう場合は、行動計画に該当するみたい。
ただし、この項目は「小学校就学前の子どもを育てる」ことを想定しているので、出産に対する「一時金」で、金額が「少ない」ものは、該当しないこともありえるかも。

ぼんさく
もらう側の社員としては、どんな名目であれ金額が多ければいいんだけどね。

ペコポン
金額は別として、子育て費用援助にしたほうが、家族手当などの支給をするよりも、いい面がある。
そのを2つ紹介しましょう。

それは[助成金]と[税金]。

[助成金]
「育児・介護費用助成金」などがある。
限度額はあるものの、中小企業の場合、会社が援助した金額の半分は助成してもらえる。
限度額は、年間、利用者1人につき30万円、一事業所あたり360万円。

[税金]
家族手当などの場合は、給与課税されてしまう。
当然、所得税の源泉徴収の対象にもなる。

これが、子育て費用援助の場合だと、
  • 利用できる社員の範囲が、社内で公平であり、特定の人や、特定の層に偏っていないこと
  • 援助の利用規程が整っていること
などを条件に、福利厚生的な性格が重視され、給与課税とはならない。
つまり、所得税の源泉徴収の対象にはならない。

ぼんさく
もらう社員としては、税金がかからないほうがありがたいね。

わたしの後記


厚生労働省の平成18年度予算概算要求の主要事項が決定したそうです。
総額21兆5415億円、対前年比7234億円、3.47%増、とのこと。

そのうち、仕事と子育ての両立など「仕事と生活のバランスのとれた働き方」に対する予算は、137億円。

ちなみに、今年度予算は54億円。
年度比では、83億円、約60%増。

はて、高いと見るか、低いと見るか。
伸び率では、驚異的に高いのでは?
額としては、判断つきません。私には。

137億円は、内訳として3つあります。
  1. 子育て世代の仕事と家庭の両立支援109億円
  2. 仕事と生活のバランスのとれた働き方の推進22億円
  3. パートタイム労働対策の充実6.4億円

このメルマガに、大きく関係する部分は(1)。
この109億円のうち、半分の56億円は、次の2つの助成のためのようです。

  • 育児休業取得者や短時間勤務制度の適用者等が初めて出た中小企業に対する5年間限定の助成の新設
  • 育児介護休業中の社員の職業能力開発の取り組み等を行う企業に対する助成の拡充

これらは、言ってみれば、大特価バーゲンセールの目玉商品。
18年度に備えて、社内のしくみをつくっておきましょう。



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