勤務地、担当業務、労働時間などの限定制度


「次世代育成支援対策推進法は、21世紀の経営資源」
メルマガバックナンバー030号(H17.11.01)

あの人の言葉発見


カネボウ化粧品、広報グループの女性係長Aさん(40)は、残業する同僚に遠慮しながら午後6時には職場を出る。
昨年11月に二女(1)の育児休業から復帰、保育園のお迎えに間に合わせるためだ。

「職場の理解に支えられています」
男女雇用機会均等法は、1997年改正で「妊娠・出産を理由とする退職・解雇の禁止」を盛り込んだ。
妊娠したことを理由に退職を迫ったり、解雇することが相次いだためだ。

92年施行の育児休業法と併せ、出産しても働き続けたい女性を後押ししてきた。
同社の女性社員の比率は、美容販売員も含めて8割に達する。

出産を機に辞めてしまう女性が多かったため、改正法施行後、始業時間の弾力化や管理職に対する均等法や育児休業法についての啓発など、法の規定以上の制度を整えてきた。

Aさんが長女(5)の育休を取った2000年度に3割ほどだった育休取得率は、昨年度5割を超えた。
今回の(均等法)改正審議では、現在、退職・解雇だけに限られている「妊娠・出産を理由とした不利益な取り扱い」の範囲を広げるかどうかが議論されている。

例えば、
・育児休業を取ったことを理由に査定を下げる、
・重いつわりで仕事の能率が低下したり欠勤したりしたことを理由に賃金を下げる、
・復帰後に両立が難しい勤務地への配転を命じる、
・パートへの身分変更を強要する、
なども、「不利益な取り扱い」として禁止するかどうか。

「今のままでは、出産しても働こうという意欲を持てない。病気と異なり出産は社会的機能でもあり、一定の歯止めが必要」と、弁護士の女性Bさんは強調する。

これに対し、企業側は「就労していない人を就労している人と同じに扱うことは出来ない」と、禁止規定の拡大に消極的だ。

Aさん自身、休業中の人事評価は最低ランクだった。
「休業中は会社に貢献しなかったのだから評価不能ということ。仕方がない」と割り切っている。
そんな中で、同社は今年1月から、従業員それぞれの目標設定に応じて評価する新しい人事評価制度を導入した。

「育児と両立している人と深夜残業できる独身者など、それぞれの目標に応じて成果を上げれば、同じように評価されます」と、同社人事グループの担当者は話す。

ただ、Aさんは「制度が整うことは歓迎だが、当事者とすれば職場の雰囲気や企業風土が大切」と話す。

上智大C教授(児童福祉)は「企業にも社会全体で子どもを共に育てるという『社会的親』としての責任がある。改正審議では、こうした視点からの議論を期待したい」と話している。
「共育」へ企業も役割を
変わる働き方・均等法改正に向けて
読売新聞 17.7.29 くらし

制度のしくみ


    〔1〕次世代法関連
     1.次世代育成支援対策推進法
     2.行動計画策定指針
     3.行動計画内容
    〔2〕関係法令
     1.育児・介護休業法
     2.労働基準法
     3.男女雇用機会均等法
    〔3〕労働社会保険
     1.給付
     2.保険料等
    〔4〕助成金、奨励金
    〔5〕法人税
    〔6〕次世代法認定企業


〔1〕次世代法関連 3.行動計画内容

〔勤務地、担当業務、労働時間などの限定制度〕

ぼんさく
働き方を限定するのか。

ペコポン
例えば、勤務地を限定する場合。
転勤がない、通勤時間が一定する、ということになる。
そうすれば、住環境はじめ子育て環境や、子育て時間の変動がなくて済む。

ぼんさく
「転勤」って聞くと、大企業のイメージだよ。
中小企業は、支店などがあったとしても、一般社員が、支店間、地域間を異動することは、比較的少ないんじゃないかな。

ペコポン
それは言えるだろうね。
言いたいことは、仕事の変動を少なくすることで、子育てにあてる時間や空間や資源やエネルギーを一定量確保することになる、ってこと。
それは、担当業務の限定しかり、労働時間の限定しかり、だよ。

この項目の大事なところは、制度そのものじゃないんだ。
「短時間勤務制」のときに話したことと通じること。
(023号「短時間勤務制」参照)

ぼんさく
問題は、「評価」と「賃金」をどうするか、ってことだ。

ペコポン
正解。
限定制度を利用している社員は、非限定社員と、「評価」は同じ土俵なのか、土俵自体違うものにするのか。

同じ土俵だとする場合、限定と非限定というだけで、評価に差がつくのか。

違う土俵だとする場合、高評価の限定社員と、低評価の非限定社員は、賃金に差がつくのか。
どちらが、どれだけ高額・低額になるのか。

ぼんさく
出産・子育て社員に対して会社が不利益な扱いをすることはいけないんでしょ?

ペコポン
そう。
例えば、育児休暇を取りたいと申し出た社員を、申し出を理由に解雇する、なんてことは、論外。
許されるものではない。

でも、出産・子育てによってこなせる仕事量が減った、明らかに能率や成果が落ちた、などの場合に、その仕事を反映した「評価」、その評価を反映した「賃金」にすることは、不利益な扱いと言えるだろうか。

ぼんさく
言えないの?

ペコポン
わかんない。
どう思う?

ぼんさく
うーん・・・

わたしの後記


仕事と育児の両立に関する「助成金」が、18年度から、編成替えされそうです。
現行は、
・育児休業代替要員確保等助成金
・育児介護休業者職場復帰プログラム実施奨励金
・育児両立支援奨励金
・育児介護費用助成金
・事業所内託児施設助成金
・男性労働者育児参加促進給付金
の6つ。

これが
・中小企業子育て助成金(仮称)
・両立支援レベルアップ助成金(仮称)の2つの構成になる模様。
見かけは減っていますが、助成の対象となる項目については変わりはないようです。

「中小企業子育て助成金(仮称)」

・員100人以下の企業
・8年度〜22年度までの5年間
・世代法の行動計画を作成・届出し、下記(1)〜(3)のいずれかの措置を講じること。
(1) 育児休業の付与
出生後6ヵ月以上の休暇であること
職場復帰後6ヵ月以上継続雇用すること

(2) 短時間勤務制度の適用
就業規則へ規定すること3歳未満の子を持つ労働者に適用される制度であること6ヵ月以上制度を利用すること

(3) 育児サービスの実施または費用の補助子が3歳になるまでの間に、補助総額が100万円を超えること

(1)〜(3)のいずれかの対象者が初めて出た場合、
1人目は100万円
2人目は60万円
を会社に支給。

「両立支援レベルアップ助成金(仮称)」

・代替要員を確保したいとき
・休業中も社員の能力アップを図りたいとき
・子育て期に柔軟な働き方ができるようにしたいとき
・ベビーシッターやヘルパー代の補助をしたいとき
・事業所内託児施設を設置・運営したいとき
・男性が子育てにかかわりやすい職場づくりをしたいとき
支給される助成金。

速報ということで、内容はこの程度に。
いずれ詳しくご紹介します。

この情報は、
東京都社会保険労務士会会報(2005.11) No.300を参考にさせていただきました。



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