育児などで退職した人の再雇用


「次世代育成支援対策推進法は、21世紀の経営資源」
メルマガバックナンバー033号(H17.11.22)

あの人の言葉発見


損保ジャパンは、退職した女性社員らを現役社員の育児休業などで生じる欠員の代替要員として活用する制度を、明らかにした。

社内事情に明るく経験豊富な人材の活用で業務のスムーズな引継ぎを行い、現役社員が育休を取得しやすくするほか、子育てが一段落した女性元社員(OG)らに雇用機会を提供する。

損保ジャパンの新しい人事システムでは、同社を退職した女性社員の希望者に専用のパスワードを交付。
同社のホームページで入力して専用画面へアクセスすると、各職場で育児休業や出産休業で必要となった代替要員の求人情報を閲覧できる。
求職者の職場や業務での経験があるなど、条件が合えば採用される仕組みだ。

また、望む雇用条件などを登録してある希望者には、メールで会社側が直接就業を打診する。
会社側としては、経験やスキルのある元社員の活用で業務の円滑な引き継ぎが期待できる。

社員も休暇中も自分の業務を安心して任せる体勢が整うことで、育休や産休が取得しやすくなる。
勤務地は元社員の居住地に応じ、本社や全国の営業拠点が対象。
現在約4300人の女性元社員らが登録済みで、最終的に5000人を目標としている。

これまでは育休などで欠員が出ても、周囲がカバーしたり、社外の人材をその都度補充していた。
一方で、退職した女性社員からは「短期間でも経験を生かして働きたい」という声が寄せられていた。
〜同社は新人事システムの導入を次世代育成支援対策の柱に位置づけている。

さらに、このシステムには女性のほかに男性の元社員らも登録しており、同社は台風など自然災害の被災地での業務に携わる臨時要員に活用することも想定している。
育休カバーにOG活用 損保ジャパン
円滑な引き継ぎ期待 4300人登録
産経新聞 17.7.1 総合


損害保険大手の日本興亜損害保険は、仕事と家庭や子育てを両立しやすくするために、自社や他社、男女を問わず配偶者が転勤した場合、社員が無条件で同じ地域へ転勤できる制度を発表した。
日本興亜損保によると、国内大手損保でこのような制度を整えるのは極めて珍しいという。

これまで他社などに勤務する配偶者がほかの地域に転勤した場合、配偶者が単身赴任するか、社員である本人が退職を余儀なくされるかするケースが多かった。
しかし新制度を利用すると、引き続き働きやすくなる。

また妊娠や育児で退職した女性社員についても、退職から3年以内ならば無条件で再雇用する制度も新たに始める。

日本興亜損保は「男女を問わず全社員が活躍できる職場環境を整備していく。企業にとっても優秀な社員を引き続き雇用できるため、メリットが大きい」と説明している。
「仕事と家庭」両立 配偶者と転勤OK
日本興亜損保が新人事制度
東京新聞 17.9.3 経済


大和證券は、営業職社員を対象に、結婚や出産などを理由に退職しても、辞めてから5年以内なら同じ待遇・職制で再雇用する制度を導入した。

これまでは派遣社員の形でしか再就職の道はなかったが、子育てが一段落した女性らに正社員として職場に復帰する道を開く。

新たに始める制度は「プロフェッショナルリターンプラン」。
2年以上在職し、10月1日以降に退職した人が対象。介護や配偶者の転勤で退職した社員も応募できる。
対象は男女問わないが、結婚と出産を理由に100〜150人程度辞めている女性を主に想定しているという。

2月に「女性活躍推進チーム」を発足させ調査してきた。
同社の現行制度では、派遣社員で戻っても正社員ではないため経験があるのに補助的な仕事しかできない。
さらに、「派遣社員だと収入が数分の1に減り、有能な人材が他社に流れる恐れもあった」(同社)という。

トヨタ自動車は、介護と配偶者の転勤を理由に辞めた専門職向け制度を導入。
三井住友銀行も結婚や出産で辞めた社員が3年以内なら復職できるなど、再雇用制度を充実させる働きが広がっている。
結婚や出産などで退職 5年以内なら同待遇で復職
  大和證券が新制度
朝日新聞 17.10.21 総合

制度のしくみ


    〔1〕次世代法関連
     1.次世代育成支援対策推進法
     2.行動計画策定指針
     3.行動計画内容
    〔2〕関係法令
     1.育児・介護休業法
     2.労働基準法
     3.男女雇用機会均等法
    〔3〕労働社会保険
     1.給付
     2.保険料等
    〔4〕助成金、奨励金
    〔5〕法人税
    〔6〕次世代法認定企業


〔1〕次世代法関連 3.行動計画内容

〔育児などで退職した人の再雇用〕

ペコポン
この再雇用制度は、大企業による採用事例がマスコミで多く紹介されている。

ぼんさく
大量の出産・育児退職者、全国対応など、大企業ならではという気がするよ。

ペコポン
大企業がやっているしくみを、そのままイメージして、それに縛られてしまうと、この項目は「中小企業・ベンチャー企業にとって関係ない」って思ってしまうかもしれないね。

そんなに大げさに考えなくてもいいんだ。
中小企業・ベンチャー企業でも十分考えられるよ。

ぼんさく
そうなの?

ペコポン
制度として、決まりごととして、「出産・育児退職者を再雇用します」と確約することは、難しいと思う。

そうではなくて、会社が、人手がほしい状況になったときに、退職者に声をかけてみる。
退職した本人も働く希望があるなら、会社にその意思を伝えておく。
その2つがマッチしたときに、再雇用・再就職が実現する。

ただそれだけ。
「そういう途があるよ」という規定の仕方、そしてその周知をすればいい。

ぼんさく
ITシステム使って、登録だの、全国対応だの、そこまで考えなくてもいいんだね。

ペコポン
大企業は、入社に対して敷居が高い。
そして、制度も結構厳しいもの。

「一度退職したら、戻れません」
今まではそういうことが一般的だった。

だから、こうした取組が新鮮で、新聞ネタにもなる。

でも、中小企業・ベンチャー企業には、柔軟性があることが強み。
一度退職しようが、もう一度入社するのは、経営者の一存でOKでしょ?

それより問題になるのは雇用条件、特に待遇面。
再雇用は、正社員なのか、嘱託やパートなのか。

また、元正社員が、再就職でまた正社員になった場合、給与の額を維持するのか、新しい待遇になるのか。

ぼんさく
そういうことを、制度として決めておくことのほうが大切ってことか。

ペコポン
それらが整備されていれば、この再雇用は、
  • 採用コストがかからない
  • 教育研修期間がかからない
  • 人間関係ができていて気心も知れている場合がある
などメリットが多い。

次世代育成支援に限らず、中小企業・ベンチャー企業にとっては、もっと頻繁に活用していい制度だと思うよ。

ぼんさく
退職者本人は、元の会社に戻って働きたいと思っていても、なかなか言い出せない。
雇ってくれるわけないっていう思い込みもある。

ペコポン
だから会社は、社員に意向を知らせておくことが大事だね。
「出産・育児退職者は、働きたいときは一声かけてね」と。
「状況によっては、また働いてもらえるよ」ってね。

あ、そうそう。
一度結婚退職した女性社員に、社長が打診して元の通り勤めてもらっている中小企業を実際に知っているよ。

ぼんさく
そういう場合、退職時に送別会をするのか・しないのか、重要な検討事項だね。

ペコポン
いや・・・
それはそんなに重要じゃないと思うよ・・・

わたしの後記


013号から21週にわたってお届けしてきました「子育て社員の仕事と家庭の両立を助ける雇用環境の整備」が、今号で終わりました。

これは行動計画の内容の中で、
 一、雇用環境の整備
  (1) 子育て社員の仕事と家庭の両立を助ける雇用環境の整備
  (2) 働き方の見直しにつながるような多様な労働条件の整備
 二、その他
という位置づけです。

一の(1)のことですよ。
憶えてますか?(汗)

ずっと個々細部を見ていると、全体大きい部分を忘れてしまいがちです。
再確認をしましょう。

ちなみに、「認定」を受けるには、
一、(1)(2)の中から、最低1つの項目を行動計画としてピックアップしなければなりません。

こうやって見てみると、自社にできそうなモノと、無理そうなモノがはっきりわかってくるのではないでしょうか?



21週というと、5ヵ月弱。

うーん。5ヵ月かぁ。
感慨深いものは・・・何もない。
何のことはない、そんなもん。
まだまだ続く。

気合いも入れ過ぎず、不満も言わず。
ひょうひょうと、淡々と。
自信あり、もない。
自信なし、もない。
そんなもんに、振り回されて、浮き沈みしたら、たまらない。

せぇーんろはつづくぅーよー どーこーまーでーもー♪っと。
そんなわけで「行動計画」テーマはもう少し続きます。

しばらくお付き合いください。
ペコポン、ぼんさく、引き続きお願いしまーす。

ペコポン
ぼんさく
「へ〜い」



  • 採用テーマ
  • 人事評価テーマ
  • 残業代テーマ
  • 仕事と家庭の両立

数事と事株式会社
Copyright:(C) 2012 Kazuo Omata All Rights Reserved.