職場優先の意識や固定的な性別役割分担意識等の見直し


「次世代育成支援対策推進法は、21世紀の経営資源」
メルマガバックナンバー039号(H18.01.10)

あの人の言葉発見


国の軸として、何が大事か。
一つ目は安全保障。
二つ目は、日本は無資源国ですから経済の軸がとても大事。
1990年代からの不況のトンネルを抜け出すため、小泉政権は構造改革を徹底し、経済の立て直しをやってきた。

目的は国の余力を絞り出し競争力を強化することですが、競争に勝って何をするのか、との答えがこの大臣職にあると思っています。

三番目の国の軸「社会軸」の担い手として社会政策を強化していく。
この段階で専任閣僚が設置されたのはことの必然であろうと思います。

<少子化専任閣僚の誕生は、日本の政治史上初。その意義を最初から熱く語った。でも、経済の立て直しの間に、出生率は下降の一途。これからどうすれば>

一つは育児と仕事の両立支援。
直接的には育児休業取得の促進や保育機能の提供。

育児休業後に職場に戻っても、身分の変更なく短時間就労を認める仕組みも大切でしょう。
子育て世代には、男性も含め働き方を見直してもらう。
いわば「暮らしの構造改革」や、経営側の意識改革も伴う「認識の構造改革」が必要です。

興味深いことに、各国の女性の労働力率と出生率を調べてみると、北欧諸国や米国、ニュージーランドなど働いている女性が多い国の方が出生率が高い。
30年前はどの国も逆。
女性は普通に家庭に入って子どもを産んでいた。

先進国は両立支援を充実させ、出生率も回復させたわけです。
日本はどれほど、その分野の政策が不足だったかを反省しないと。

<経済的な理由から、子育てを敬遠する傾向も強いのでは>

冷戦後のグローバリゼーションと不況を同時に経験して、日本の若い世代の雇用はフリーター、ニートなどと非常に多角化し、相対的に窮乏している可能性があります。
雇用政策は少子化と一見関係ないようですが、そうした点から若い世代が不当な苦労を強いられないようにしたい。

06年の6月には、少子化社会対策推進会議が報告をまとめ、政府の骨太の方針に反映させて各省に予算要求してもらいます。
そこで両立支援や雇用対策を重点化していきたい。

<担当相自身、両立支援などない時代に子育てをしてこられました。その経験から言えることは>

私や私より上の世代は、結局、個人的な解決を求めてきました。
私だって私の母親、「おばあちゃん育児」に相当頼り、あと、近隣の子育て経験のあるお母さんたちに助けてもらいましたよ。

今後はそういうのを政策化できればいいわけです。
具体的には、自治体レベルで子育て支援のためのコミュニティーを育ててもらう。
全国のブロック単位で知事さんに集まってもらい、私が出向いて協議をしていくプロセスを始めます。

<ただ、そういう環境を整えれば、若い世代が自然に「子どもを産みたい」と思うでしょうか>

そうした心の問題は、政策的に誘導すべきではないでしょう。
産めよ増やせよ、といった復古調の価値観を女性に押しつけても、問題は解決しません。
多様な選択を許す社会にならないと、民主主義さえ危うくなる。
いま、会いたい
猪口邦子 少子化・男女共同参画担当相
多様な選択許す社会に
東京新聞 17.12.4 総合

制度のしくみ


    〔1〕次世代法関連
     1.次世代育成支援対策推進法
     2.行動計画策定指針
     3.行動計画内容
    〔2〕関係法令
     1.育児・介護休業法
     2.労働基準法
     3.男女雇用機会均等法
    〔3〕労働社会保険
     1.給付
     2.保険料等
    〔4〕助成金、奨励金
    〔5〕法人税
    〔6〕次世代法認定企業


〔1〕次世代法関連 3.行動計画内容

〔職場優先の意識や固定的な性別役割分担意識等の見直し〕

ぼんさく
ん? ピンとこないけど、これはどういう行動計画?

ペコポン
例えば、
  • 職場優先の意識
  • 固定的な性別役割分担意識
このような意識があるために、働きやすい環境とはいえない職場であるならば、そしてその職場の慣行のようなものがあるならば、その意識を改めたり、その慣行をなくしたりするための、情報提供や研修を、社員に対して行う。

ぼんさく
へ〜。 そういうことが行動計画になるんだ。
特に、管理職の意識改革が大事になりそうだね。

でも、そう簡単に変わるかな?
それに、意識が変わったか・変わらないかは、すぐには分からないよ。

ペコポン
この計画が達成したか・しなかったかは、意識改革ができたか・できなかったかではなく、その情報提供や研修をしたか・しなかったかで判断する。

ぼんさく
それなら「行動計画」としては、あげられそうだ。

ペコポン
これからは、「行動計画」からちょっとそれる話し。
どんな意識であれ、人の意識を変えようとすることは、それがある目的をもってされることは、危険なことでもあるよね。

「固定的な性別役割分担意識」これなんかは男女差別につながるおそれがある。
例えば「お茶くみは女性がやるもの」といったこと。
だから多分、こういう意識は変えたほうがいいだろうとは思う。

では、「職場優先の意識」はどうだろう。
『本当は家庭を大事にしたいのに、職場優先を強いられる』
こんな場合は、その人にとって働きにくい職場になってしまうから、これも変えることはいいかもしれない。

だけど、仕事を最優先にして生きたい人にとっては、どうか。

ぼんさく
職場優先の風潮はウェルカムだろうね。

ペコポン
そんな人に対してまで、『職場優先の考え方・仕事優先の生き方を改めよ』と言うのは、はたして正しいことなのか、どうか。

社員の考え・意識・価値観はそれぞれ。
その職場のトップが、そのそれぞれの考え・意識・価値観を尊重する姿勢。
それが大事なんじゃないかな。

画一的に1つだけを受け入れたり、自分の都合のいいものだけを受け入れて、その他を排除するようなことはやめよう、と言いたい。

ぼんさく
ほぉー。 なるほど。
職場のトップって、小さい組織の会社なら「経営者」、大きい組織の会社なら「管理職者」だね。

ペコポン
うん、そうだね。

さて、034号から始まった『働き方の見直しにつながるような多様な労働条件の整備』は、今回で終了です。
これは『雇用環境の整備』の2つ目の項目。

ぼんさく
一、雇用環境の整備
(1) 子育て社員の仕事と家庭の両立を助ける雇用環境の整備
(2) 働き方の見直しにつながるような多様な労働条件の整備
二、その他
だったね。

次回からは、行動計画の『その他』項目だ。

わたしの後記


明けましておめでとうございます。
今年も「次世代法は経営資源」を、よろしくお願いします。

年末年始は、いかがだったでしょうか?
ここでは年末年始の各新聞について少し触れたいと思います。

私の印象としては、国の少子化問題を取り上げていることがやけに多かったような気がします。

少子化については、いろいろな人によって、いろいろな立場から、いろいろな対策が語られています。
次世代法も、その対策の1つ。

次世代法といえば、このメルマガ。
でも、当メルマガ、題名にもあるように、次世代法を経営に活かそう、ということが主題です。
少子化を解消しようという意図は、ほとんどありません。
結果的に役に立てば、それはそれでいいのかな、とは思っていますが。

そうなんです。

私は少子化の傾向を「改善すべき」とは思っていないのです。
だって、少子化が「悪い」とは思っていないから。
もっと正確に言えば「悪いことなのかわからない」のです。私には。

報道される論調の主なものはこう。

『労働人口が、減少する。
 国際競争力が、低下する。
 将来の日本経済が、縮小する。
 国力が、衰退する。
 とっても不安』
というもの。

そう言われると、そのようにも思えてくるけど・・・



じゃぁ、国のために産まなきゃなんないの?
ちょっと疑問。

経済発展がなければ、幸せは無い?
うーん、どうだか。

もし、そうでないなら?
別に少子化でもいいじゃん。

だから「悪いこと」なのか、よくわからないんです。

でも、明らかにマズイ問題も。

それは、年金制度。
今の年金制度は、少子高齢社会を前提としていません。
現代に対応していない旧いシステム、ということ。

じゃぁ、年金制度を維持するために少子化を改善する?
それもなんだかヘンな話し。

システム維持のために社会をつくる、のではなく、社会のためにシステムをつくるのがスジ、だよなぁ。

この話し、このメルマガの本題ではないので、ココまで。
と打ち切って逃げる。



さて。

では、問う。
このメルマガ、何のために、発信されるや。

答える。
産みたい・育てたい・仕事したい、という人が、環境が整っていないために何かをあきらめなければならない社会はイヤだな、と思うから。
「その環境を整えよう」という素晴らしい会社が、素敵な経営者が、いい目を見られるようにしたい。
自分にできるほんの小さな、世の中ハッピー化。

世の中の人々が、産みたい・育てたい・仕事したい人間ばかりになれ、とは決して思わない。
そんな、価値観の画一化はイヤ。
そんな誘導は、絶対イヤ。
と、決意表明をして、2006年・戌年をスタートするのでした。



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